注文住宅で間取りを重要視する方は少なくありません。実際に国土交通省が注文住宅を建てた全国755名を対象にした、「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、注文住宅を選択した理由に「間取り・部屋数が適当だから」と挙げた人は(住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」を注文住宅の選択理由に挙げた29.8%のうち)44.3%にのぼります。
間取り選びで後悔しないためにも、本記事を参考に最適な間取りを見つけていただければ幸いです。
もくじ
10年前とは違う?いま人気の間取りプラン
年々、人気の間取りプランは変化しています。以下では、アキュラホーム住生活研究所が実施した「住宅傾向調査2021」の調査結果をもとに、人気の間取りプランを3つ紹介します。
洗面所の面積を広くとる
近年、共働き世帯が増加しているため、家事の効率化が重要視されています。たとえば、洗面所で洗濯から乾燥までのすべてを完結させるため、洗面所の面積を広くする家庭が増えています。
実際に、2009年から2021年に株式会社アキュラホームで建築された100棟の、間取りにおける調査結果によると、洗面所の面積は2019年の平均2.3帖から、2021年には3.0帖となって30%増となっています。
年 | 面積(帖) |
---|---|
2009 | 2.3 |
2021 | 3.0 |
参考:PRTIMES『アキュラホーム住生活研究所、10年間の間取りの変化を発表「住宅傾向調査2021」』
メリット
洗面所の隣には脱衣室、お風呂が近くに配置される間取りがほとんどです。洗面所の面積を広くとっておけば、脱衣→お風呂→洗濯→乾燥と近い場所でサイクルでき、広いスペースで洗濯物を処理できます。
また、間取りによっては脱衣室兼洗面所という住宅もあります。洗面所が広いスペースであれば容易に脱衣や着衣ができることもメリットです。小さな子どもがいる家庭では、脱衣や着衣を手伝うことが多いためです。
デメリット
洗面所は脱衣室やお風呂、クローゼット、トイレなどほかの部屋とすぐ隣になる場合が多いです。洗面所を広くとってしまうと、ほかの部屋が狭くなることに直結しますので注意が必要です。
また、洗面所で洗濯物を干すことが多い人にとっては、洋服の生乾きなどの臭いが気になります。ただ、臭いは室内用の洗剤や衣類用除湿乾燥機、サーキュレーターを設置すれば改善できます。
シューズクローゼットをつくる
ライフスタイルの多様化によって、シューズクローゼット(シューズクローク)は靴を保管する場所としてだけでなく、ゴルフやスキーの道具、バーベキュー用品、子どもの遊び道具などを収納できる場所として人気となってきています。
実際に、2009年と2001年を比較するとシューズクローゼットの設置件数は増加しています。
年 | 件 |
---|---|
2009 | 32 |
2021 | 75 |
参考:PRTIMES『アキュラホーム住生活研究所、10年間の間取りの変化を発表「住宅傾向調査2021」』
また、設置件数に比例し面積も23%と増加しており、屋内収納の役割が求められるようになりました。
メリット
玄関のすぐ隣に配置されているため、収納道具をすぐに取り出せる点がメリットです。
遊び道具以外にも、かばんやアウター類を置くスペースを確保すれば動線がよくなります。リビングに置きがちなモノをシューズクローゼットに保管できるため、リビングをキレイに保てます。
デメリット
靴だけを使用する玄関に比べると、さまざまな道具を出し入れするので床が砂や土で汚れやすく、定期的な清掃が必要です。
また、道具が散乱している場合は見た目が悪く、自宅を訪問した人から丸見えになってしまいます。扉やカーテンを配置するなど、空間を分ける対策を考えておきましょう。
玄関から直接洗面所へ向かえるようにする
新型コロナウイルスの感染予防対策として、厚生労働省は2020年から手洗い、咳エチケットの実施を呼びかけています。
結果として2020年以降は手洗いやうがいに対する認識が強くなり、帰宅後に玄関から直接洗面所に向かえるような間取りを採用する家庭が増加しました。
メリット
住宅に入ればすぐに手洗い、うがいを実施できるため、家族やお客様は外出先でひろってきた汚れや菌をすぐに落とせます。
また、家族が増えたときや朝の混雑時は洗面所を使用する時間帯が重なり、洗面所を使用できない人がでてきます。しかし、洗面所が複数あれば、混雑することなく家族みんなが準備できます。
デメリット
動線や間取り次第では手洗い場が複数必要になるため、建築費用が高くなってしまいます。
また、水回りは水漏れなどのトラブルが多い場所ですので、洗面台が増えればトラブルのリスクが高くなります。
自分たちにあった間取りを見つける方法
人気の間取りはたくさんありますが、すべてが自分たちにピッタリ合うわけではありません。家族構成や年齢層、地域性、ライフスタイルなどさまざまな要因によって間取りを決めたほうが、失敗は少ないです。
住む人全員のことを思い、話し合いを重ねて担当者に提案し、さらに話し合いを重ねることで素晴らしい間取りが完成します。ここでは、自分たちにあった間取りを見つけるために実施するべきポイントを3つ紹介します。
VR展示場で間取りを確認する
VR展示場とは「インターネット上からアクセスするだけで、実際に住宅展示場で間取りを確認しているかのような空間」、を再現するサービスのことです。
間取りにこだわりたい方の中には、実際の間取りをできるだけ多く確認したい方もいるでしょう。しかし、多数の住宅展示場に足を運ぶのは労力も費用もかかります。対して、VR展示場なら完全無料で自宅から気軽に間取りを確認できます。
当メディアが運営する「メタ住宅展示場」では、大手から中小企業まで多数のモデルハウスをクリックひとつで見学できます。さらに、丸いカーソルボタンをクリックすると、間取りの正式名称や詳しい説明も出てきます。

間取り部分をコピーして保存したり、実際の大きさを測定したりもできます。自宅からでもリアルな間取りを確認できるので、ぜひ試してみてください。
また、メタ住宅展示場で間取りを確認したうえで、気になるモデルハウスがあれば足を運んでみるとより間取りへの理解が深まるでしょう。実際に建築されている住宅展示場を見ることで、生活動線、通路の幅、音、採光、温度など生活するうえで必要なさまざまな情報を手に入れることができ、自分たちの理想とする住宅をイメージできます。
ハウスメーカーや工務店はそれぞれの工法を持っており、得意なジャンルも異なります。自分たちが建築してほしいハウスメーカーを決定するためにも、VR展示場や住宅展示場で実際の間取りを確認しましょう。
欲しい家電や住宅設備を考える
間取りを決める際に考えておきたいのが、設置したい家電や住宅設備の種類などです。先に間取りを決めてから、間取りに合わせたモノを設置する方法もありますが、種類がかなり限定されるためあまりオススメしません。
設置したい家電と住宅設備を考えたあとに、サイズや設置できる場所を検討しましょう。たとえば、大型冷蔵庫などはサイズや扉、開口後のスペースなどを考えて設置する必要があります。
また、全館空調を設置するのであれば、1室にエアコンを設置してダクトで各部屋に供給する、空調機を天井裏に設置してダクトで各部屋に供給する、などさまざまな方法があります。必要とする家電や住宅設備などを決めておけば、間取り作成もスムーズに行えます。
間取りの基本用語を勉強する
間取りを決めるときに、必ず知っておくべきことが間取りの基本用語です。これからハウスメーカーや工務店に行き、担当者が決定したらさまざまな説明をされます。
しかし、基本的な言葉を知らずに説明を聞いていると細部まで理解ができないため、打ち合わせがうまくいかず担当者に自分たちの思いを伝えられません。住宅の間取りに関する書籍やSNSなどのあらゆる媒体を使って、勉強しましょう。
間取りを決める手順
間取りを決める手順は以下のとおりです。
- 家族に希望を聞く
- 家族から出た意見をもとに、必ず叶えたい希望を5つ程度に絞る
- 各部屋のイメージ写真を集める
- ハウスメーカーや建築事務所から間取りを提案してもらう
1.家族に希望を聞く
まずは、家族全員で話し合いを行い、住宅が建ってからどのような希望を叶えたいか、可能な限り意見を出してもらいましょう。希望する意見の例は以下のとおりです。
- 平家がいい
- 広い庭でBBQがしたい
- テレワークできる部屋が欲しい
- ガレージで作業をしたい
- 家事効率をよくするため、回遊動線(家の中に行き止まりがなく、ぐるっと一周できる動線)にしたい
- 子ども部屋が欲しい
- リビングは吹き抜けがよい
上記以外でもまだまだ意見は出ると思いますので、将来のことも考慮に入れながら話し合いを重ねましょう。
2.家族から出た意見をもとに、必ず叶えたい希望を5つ程度に絞る
話し合いで出たたくさんの意見の中から、これだけは絶対に叶えたいという希望を5つ程度に絞りましょう。
すべての意見を取り入れるのは不可能に近く、間取り作成だけで膨大な時間がかかってしまいます。最優先で叶えたい意見を決め、残りの意見は補助的に使いましょう。
3.各部屋のイメージ写真を集める
建築会社との打ち合わせで間取り作成を行っていきますが、打ち合わせ自体を何度も行うことはできません。限られた時間で設計士に自分たちのイメージを言葉だけで伝えるのは難しいので、「ピンタレスト」という画像探索アプリを使用するのがオススメです。
ピンタレストに各部屋をフォルダー分けし、イメージ画像をお気に入り登録しておけば、画像を見せながら打ち合わせができます。画像から間取りのイメージを設計士に伝えられます。
さらに、設計士もプロですので伝えたイメージから派生して、よりよい間取りを提案してもらえる可能性があります。
4.ハウスメーカーや建築事務所から間取りを提案してもらう
打ち合わせで家族の意見を設計士に伝え、間取りを提案してもらいましょう。打ち合わせは数回ありますので、何度も家族の話し合いを重ねて、実際に生活のイメージをすると、よりよい間取りに近づきます。
また、ハウスメーカーや建築事務所によっては、契約前に簡易的な間取りを作成してくれます。最初からひとつの会社に絞って間取りを作成してもらう方法もありますが、たくさんの会社に間取りを作成してもらい、お気に入りの間取りを見つけるのもよいでしょう。
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