日本の住宅は、夫婦が同じ寝室で眠る前提の間取りが一般的です。
しかし、仕事や生活リズムの違いから、寝室を分けたほうが快適に暮らせる夫婦もいます。特に勤務時間が異なる場合は、無理に同室にするよりも、お互いがしっかり休める環境を優先したほうがよいこともあります。
夫婦で寝室を分けることを考えたとき、「会話が少なくなるのでは?」「夫婦の距離ができるのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。また、相手にどう伝えれば理解してもらえるか悩むこともあるでしょう。
ここでは、実際に寝室を別にしている夫婦の割合や理由をもとに、夫婦別室が夫婦関係に与える影響や、パートナーを傷つけずに気持ちを伝えるためのポイントについて解説します。
もくじ
寝室を分けることで夫婦に生まれる変化
寝室を分けることは、単に寝る場所が変わるだけではありません。
睡眠環境やプライベートな時間の過ごし方、夫婦の距離感など、日々の暮らしにもさまざまな変化が生まれます。
「夫婦で寝室を分けると関係が悪くなるのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、実際にはお互いの生活リズムや価値観を尊重しやすくなり、結果として夫婦関係が良くなるケースもあります。
寝室を分けることで夫婦の暮らしにどのような変化が生まれるのかを見ていきましょう。
夫婦それぞれのプライベート空間を確保できる
夫婦で同じ寝室を利用していると、就寝時間や起床時間だけでなく、寝る前の過ごし方にも気を遣う場面があります。
例えば、「もう少し読書をしたい」「動画を見ながらゆっくり過ごしたい」と思っても、相手が先に寝ている場合は照明や音が気になり、思うように過ごせないこともあるでしょう。
寝室を分けることで、それぞれが自分のペースで夜の時間を過ごしやすくなります。趣味を楽しんだり、一人でリラックスしたりする時間を確保しやすくなるため、プライベートな時間を大切にしたい夫婦にとっては大きなメリットです。
実際に、夫婦別室を希望する理由として、「気兼ねなく読書やテレビを楽しみたい」「プライバシーを尊重したい」といった、自分の時間を重視する声も少なくありません。
睡眠の質が向上する
夫婦別室を希望する理由として最も多いのが、いびきや寝相などによる睡眠ストレスです。
実際に、研究でも夫婦別室を希望する理由の1位は「別寝安眠」であり、パートナーや自分のいびき、寝相が気になることが大きな要因となっています。
どれだけ夫婦仲が良くても、毎日のように睡眠を妨げられる状況が続けば、知らず知らずのうちにストレスが蓄積してしまうものです。特に眠りが浅い方は、相手の寝返りやいびきで何度も目が覚めてしまうこともあるでしょう。
寝室を分けることで、こうした睡眠中のストレスを軽減しやすくなります。また、エアコンの温度設定や照明の明るさなども自分に合わせやすくなるため、より快適な睡眠環境を整えやすくなるのもメリットです。
質の高い睡眠は、日中の集中力や気分にも影響します。結果として、お互いに余裕を持って接することができ、夫婦関係にも良い影響を与える可能性があります。
また、男女で体感温度が違うというのもよくある問題ですが、寝室を別にすればエアコンを自分に合った温度に設定して、快適な睡眠タイムが過ごせます。
良質な睡眠は昼間の作業効率も上げてくれますので、仕事や家事がよりいっそうはかどるかもしれません。
就寝前の時間を自由に過ごしやすい
寝室を分けることで、就寝前の時間を自分のペースで過ごしやすくなります。
例えば、読書をしたり、動画を見たり、趣味を楽しんだりしたいと思っても、同じ寝室では照明や音が相手の睡眠を妨げてしまうことがあります。そのため、本当はもう少し起きていたくても、相手に合わせて早めに寝るケースも少なくありません。
夫婦別室であれば、相手を気にせず自分の好きなタイミングで就寝できます。また、仕事の勉強や資格取得のための学習時間を確保したい方にとっても、集中しやすい環境をつくりやすいでしょう。
実際に、夫婦別室を希望する理由として、「気兼ねなく読書やテレビを楽しみたい」「プライバシーを尊重したい」といった声も多く見られます。
就寝前の時間は、一日の疲れをリセットする大切な時間です。自分らしくリラックスできる環境を確保することで、心身のリフレッシュにもつながります。
寝室を分けている夫婦の割合は約22%
現代における住宅計画のための室要求構造の解明に関する研究「夫婦の就寝形態の特徴と寝室・私的領域の計画課題について」によると、寝室を夫婦で別にしている人の割合は約22%でした。
夫婦5組中1組という割合に対して「意外と少ない」と感じる人もいるかもしれません。
夫婦別室の割合がそこまで増えていない原因の一つが、日本の住宅事情です。従来の日本では「夫婦は一緒の部屋で寝るのが自然」という風潮があり、一軒家でもマンションでも夫婦同室就寝を前提とした住宅がほとんどです。そのため、実際には寝室を分けたいと思っていても、部屋数や間取りの都合で分けられない場合もあります。
実際に同研究では、予算や広さなどに制限がない場合、夫婦別室を希望する人の割合はさらに増えるという結果も出ています。
予算や広さの制限ナシなら?別室希望は夫が約34%、妻が約46%
同研究によると、家の部屋数や広さ、予算などに制限がない場合、夫婦別室を希望する人の割合は、夫が約34%、妻が約46%でした。特に妻は、約半数が別室を希望していることがわかります。
つまり、実際に寝室を分けている夫婦は約22%ですが、本当は別室にしたいと考えている人は、それ以上に多い可能性があるということです。
夫婦別室を希望する理由として最も多かったのは、パートナーもしくは自分のいびきや寝相を理由にした「別寝安眠」でした。夫は33%、妻は約47%を占めています。
次に多かったのが、「気兼ねなく読書やテレビを楽しみたい」「プライバシーを尊重したい」といった、自分の時間を大切にしたいという理由です。こちらは夫が27%、妻が約31%という結果でした。

画像引用:現代における住宅計画のための室要求構造の解明に関する研究 「夫婦の就寝形態の特徴と寝室・私的領域の計画課題について」図6 希望就寝携帯
理由として一番多かったのが「パートナーもしくは自分のいびきや寝相の悪さ」を理由にした「別寝安眠」で、夫の33%、妻の約47%を占めています。2番目に多い理由は「気兼ねなく読書やテレビを楽しみたい」や「プライバシーを尊重して」といった理由の「自律的時間要求」で、夫は27%妻は約31%という結果でした。

画像引用:現代における住宅計画のための室要求構造の解明に関する研究 「夫婦の就寝形態の特徴と寝室・私的領域の計画課題について」
寝室に対する認識は?妻と夫の考えの違いとは
そもそも寝室は、パートナーと過ごすための場所という認識なのでしょうか。同研究で、同寝の夫婦に「パートナーと過ごす居場所は」というアンケートを取った結果、寝室と回答したのは夫約25%、妻約36%でした。
一方、パートナーと過ごすのはリビングという回答は夫約95%、妻約89%で、寝室という回答を大きく上回ります。なお、寝室が別室の夫婦は、パートナーと過ごすのはリビングという回答がともに9割を超えていました。

画像引用:現代における住宅計画のための室要求構造の解明に関する研究 「夫婦の就寝形態の特徴と寝室・私的領域の計画課題について」
同室の夫婦でも、寝室がパートナーと過ごす場所という認識は低く、同室でも別室でもパートナーと過ごすための居場所はリビングという夫婦がほとんどでした。
つまり、寝室が同じ理由は「パートナーと過ごしたい」というより「それが自然だから」もしくは「なんとなく」という理由ではないかと考えられます。
夫婦の居場所はリビングという回答からも、寝室を同室にすることにこだわりすぎる必要はないかもしれません。
夫婦で寝室を分ける際の注意点
夫婦で寝室を分ける際は、以下のポイントを確認しておきましょう。
- 会話が少なくなる
- パートナーの体調不良に気付かない
- コストがかかる
夫婦で寝室を分けたあとの後悔を防ぐには、注意点も理解したうえで自分たちに合った寝室のあり方を考えることが大切です。
ここでは、夫婦で寝室を分ける際に知っておきたい注意点について解説します。
会話が少なくなる
就寝前に話をする習慣がある夫婦は、寝室を別にすることで会話が少なくなってしまうかもしれません。特にお互い忙しい夫婦で、就寝前しか話す時間がないという場合は注意が必要です。
「寝室は別にしたい。でも会話がなくなったらどうしよう…。」と悩んでいる場合は、リビングで一緒に過ごす時間を作るなど代案を提案して、夫婦での会話を楽しむ工夫をしましょう。
パートナーの体調不良に気付かない
人間は夜に体調を崩すことが多いといわれています。たとえば、寝室に入ったあとに心筋梗塞など重篤な病気になったとき、同室ならパートナーの異変に気付きますが、別室だと朝まで気が付かないかもしれません。
また、中年以降の男性に多い、寝ているときに呼吸が止まったり浅くなったりする睡眠時無呼吸症候群も寝室が別だと症状に気付かないケースがあります。
睡眠時無呼吸症候群は放置しておくと、狭心症、心筋梗塞、脳卒中など命に関わる病気につながるリスクがありますので治療が必要です。
体調に不安がある場合は、寝室が同じ・別にかかわらず、早めに医療機関を受診しましょう。
コストがかかる
寝室を別にするということは、部屋がもうひとつ必要ですのでコストがかかります。もし余っている部屋がないという場合は引越しやリフォームが必要で、多くの費用がかかります。
部屋がある場合でも、使用する部屋が増えるぶん光熱費がかかります。特に最近の夏は夜も暑さで寝苦しいことが多く、一晩中エアコンを付ける人もいるでしょう。
エアコンを一晩中2つの部屋で使用したら、電気代は予想以上に跳ね上がるかもしれません。寝室を別にするときは、氷枕や扇風機などで暑さを和らげて、少しでも電気代を下げる工夫をすることをおすすめします。
寝室を別にしたいときはどう伝える?
寝室を分けたいと思っていても、「相手を傷つけてしまうのではないか」「夫婦仲が悪いと誤解されるのではないか」と不安になり、なかなか切り出せない方もいるでしょう。
実際に、夫婦別室を希望する理由の多くは、いびきや寝相、生活リズムの違いなどによる睡眠環境の問題です。しかし、伝え方によっては相手への不満と受け取られてしまうこともあります。
大切なのは、相手を否定するのではなく、お互いが快適に暮らすための提案として話し合うことです。
ここでは、寝室を別にしたいと感じたときの伝え方のポイントを紹介します。
相手を責める言い方は避ける
寝室を分けたい理由がいびきや寝相、生活リズムの違いであっても、相手を責めるような伝え方は避けましょう。
例えば、「いびきがうるさいから別で寝たい」「寝相が悪くて眠れない」といった言い方は、相手を否定しているように受け取られる可能性があります。
寝室を分ける目的は、相手と距離を置くことではなく、お互いが快適に過ごせる環境を整えることです。そのため、「最近眠りが浅くて困っている」「もう少し睡眠の質を改善したい」など、自分の悩みとして伝えたほうが受け入れてもらいやすくなります。
また、「相手が悪い」ではなく「こうするとお互いに快適に過ごせそう」という伝え方を意識すると、前向きな話し合いにつながりやすいでしょう。
睡眠環境の改善として伝える
寝室を分けたいと伝えると、「一緒に寝たくないのかな」「夫婦仲に問題があるのかな」と思われるかもしれません。
そのため、夫婦関係の問題としてではなく、睡眠環境を改善するための提案として伝えることが大切です。
例えば、「お互いがもっとしっかり眠れるようにしたい」「生活リズムが違うから、それぞれに合った環境で休めるようにしたい」といった伝え方であれば、前向きな話し合いにつながりやすくなります。
実際に、夫婦別室を希望する理由として多いのは、いびきや寝相、就寝時間の違いなどによる睡眠ストレスです。決して夫婦関係が悪いからではなく、より快適な暮らしを実現するための選択肢として考える夫婦も少なくありません。
寝室を分けること自体が目的ではなく、お互いが心身ともに健康に過ごせる環境を整えることが目的であると伝えることで、相手にも理解してもらいやすくなるでしょう。
まずは期間を決めて試してみる
寝室を別にすることに不安がある場合は、いきなり完全に別室へ移行するのではなく、まずは一定期間試してみるのがおすすめです。
例えば、「平日だけ別々に寝る」「1カ月だけ試してみる」など、期間やルールを決めて始めれば、心理的なハードルも下がります。
実際に試してみると、「思った以上によく眠れるようになった」「お互いに気を遣わなくなって楽になった」と感じることもあれば、「やはり同じ部屋のほうが安心できる」と気付くこともあるでしょう。
夫婦にとって心地よい距離感はそれぞれ異なります。そのため、最初から正解を決めつけるのではなく、実際の生活の中でお互いの感想を共有しながら、自分たちに合ったスタイルを見つけることが大切です。
特に注文住宅を検討している場合は、将来的に同室へ戻す可能性も考慮しながら、柔軟に使える間取りを検討しておくと安心でしょう。
別室でも愛情あふれる関係を築くには?その方法
たとえ別室でも、いつまでも仲のよい夫婦でいるのが理想の関係でしょう。この項では、別室でも愛情あふれる関係を築くための方法を解説します。
夫婦でよい関係を続けていきたい人はセパレートにする
いつまでも愛情あふれる関係でいるには、別室でも同室のメリットが享受できるセパレート寝室がよいでしょう。
セパレート寝室とは1つの部屋を収納や棚、もしくはカーテンやパーティション(パーテーション)などでソフトに仕切り、空間を2つに分ける寝室のことです。
もとは1つの部屋ですので、パートナーの気配をなんとなく感じながら、自分のプライバシーも確保できます。
また、セパレート寝室は距離を近づけたいときは仕切りを外し、1人の時間に集中したいときは仕切りを立てるというように、空間を自由に変えられます。
自分の時間を大切にしたいけどパートナーの体調や様子が気になる夫婦には、特におすすめです。
隣や向かい合わせなど、寝室同士の距離を近づける
セパレート寝室もいいけど、もっと自分の空間を大切にしたい方は、寝室同士の距離が近い別室がよいでしょう。
家の間取りにもよりますが、理想は隣や向かいあわせなど、パートナーの行動が何となくわかる距離にお互いの部屋があることです。
距離が近ければ、足音などで「夜トイレに行ったけど、なかなか戻ってこない」など、パートナーの異変に気付けるかもしれません。
また、体調が悪くなったり、急用ができたりしたときもすぐに呼びに行ける距離なら安心です。少し話がしたいときや一緒にいたいときも、距離が近いほうが何かと便利です。
居心地のよい部屋をお互いの寝室にする
別室にする場合、お互いの寝室はそれぞれ居心地のよい部屋に決めましょう。たとえば、一方は日当たりのよい6畳、もう一方はジメジメした4畳では不公平で、時間がたつにつれ不満がたまっていくかもしれません。
睡眠が中心になる部屋といっても、人間は人生の3分の1くらいは寝ていますから、思っているより多くの時間を寝室で過ごすことになります。
また、睡眠は次の日のために心身を回復させるための大切な時間です。大切な時間だからこそ、お互いに家の中でも居心地がよいと思える場所を選びましょう。
夫婦別室で失敗しないためには
夫婦別室で失敗しないためには、寝る場所をただ離すのではなく、セパレート寝室にしたり、寝室同士の距離を近づけたりして工夫したほうがよいでしょう。別室でもお互いの存在を感じられるような配慮や、必要なときに気軽に接触できる距離感を保つことで、夫婦のコミュニケーションや関係性を維持しやすくなります。
また、愛情あふれる関係をずっと築いていくためには会話や思いやりはもちろん、家の間取りや寝室のタイプも重要です。
実際にモデルハウスを見て、夫婦で理想の寝室について話し合ってはいかがでしょうか。まずは、住宅展示場に出向いてイメージをふくらませ、お互いの意見を聞いてみましょう。
なお、当メディアのメタ住宅展示場は、自宅にいながら全国各地のモデルハウスを360度自由に見渡せます。特に「展示場に出向くのが大変」「忙しくて時間がない」という方は、ぜひ寝室づくりの参考にしてください。
この記事の編集者
メタ住宅展示場 編集部
メタ住宅展示場はスマホやPCからモデルハウスの内覧ができるオンライン住宅展示場です。 注文住宅の建築を検討中の方は、時間や場所の制限なくハウスメーカー・工務店を比較可能。あなたにヒッタリの家づくりプランの作成をお手伝いします。 注文住宅を建てる際のノウハウなどもわかりやすく解説。 注文住宅でわからないこと、不安なことがあれば、ぜひメタ住宅展示場をご活用ください。
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