ツーバイフォー工法(枠組壁工法)は「2×4」と呼ばれる規格材を主に使用し、壁・床・天井を一体化させて建物全体を箱型の構造に仕上げる建築方法です。
枠組みに構造用合板を貼り付けることで、建物全体が剛性の高い六面体となり、安定した構造を実現します。そのため、木造でありながら地震に強く、火災時にも延焼しにくいといった耐震性や耐火性に優れている点が特徴です。
しかし、ツーバイフォー工法は、優れた性能を持つ一方で、構造上の特性により「やめたほうがいい」と言われることもあります。
マイホームは人生最大の買い物だからこそ、ツーバイフォー工法の具体的なデメリットや注意点を知り、建ててから後悔することのないよう事前にしっかりと確認しておきましょう。
もくじ
ツーバイフォーはやめたほうがいいと言われる3つの理由
「ツーバイフォーはやめたほうがいい」と言われる理由には、次のようなものがあります。
- リフォーム・間取り変更の自由度が低い
- 高気密構造により結露・カビが発生しやすい
- 壁構造による大きな窓・開口部の制約
ツーバイフォー工法は優れた建築方法ですが、どんな工法にも特性があり、それが時として制約となることもあります。
否定的な意見を事前に把握しておくことで、その特性を理解した上で納得のいく家づくりができます。それぞれの理由について見ていきましょう。
リフォーム・間取り変更の自由度が低い
ツーバイフォー工法は、壁そのものが建物を支える構造となっているため、構造上、取り除くことができません。
そのため、リフォームやリノベーションの際に制約が生じ、希望どおりに間取りを変更できないこともあります。例えば、隣り合う2つの部屋を1つの大きな部屋に統合したい場合や、キッチンとリビングを仕切る壁を撤去して対面キッチンにしたい場合、その壁が耐力壁(建物を支える重要な壁)であれば撤去できません。
また、耐力壁で区切られた空間は40平米(約24畳)以内という決まりがあるため、それ以上の大空間を作ることが困難です。
このような理由から、ツーバイフォー住宅の購入を検討する際は、将来のリフォーム・リノベーションが制限される可能性があることを理解しておくことが大事です。
なお、間仕切り壁(非耐力壁)や設備、内装といった部分は比較的自由な変更が可能です。
高気密構造により結露・カビが発生しやすい
ツーバイフォー工法は、壁・床・天井が「面」で構成され、隙間が生まれにくい構造のため、高い気密性が特徴です。
気密性が高い住宅は、外気の侵入を抑えて冷暖房効率が向上し、光熱費を削減できるメリットがあります。しかし、反対に、屋内の空気が入れ替わらないので湿気が逃げて行かず、カビや結露の発生原因となるおそれがあるのです。
特に、外気との温度差が発生しやすい以下の場所では、結露の発生により、カビが繁殖しやすい環境となります。
- 壁の内部
- 換気が不十分な押入れ
- クローゼット
- 浴室
- 洗面所などの水回り
結露やカビの発生は、建物の耐久性を損なうだけでなく、住む人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
また、施工の精度によっては気密性にムラが生じて結露が発生しやすくなるケースもあるため、一定の品質を保った施工が求められます。
結露やカビ対策としては、24時間換気システムの活用や適切な湿度管理が効果的です。
壁構造による大きな窓・開口部の制約
壁構造のため、大きな窓を設置したり開口部をつくることが難しい点も「ツーバイフォーはやめたほうがいい」と言われる理由の一つです。
ツーバイフォー工法は壁で建物を支えるのが特徴です。
そのため、柱や梁で構成される在来工法と比べて、壁に大きな開口部を設けることが難しいという構造的な制約があります。
具体的には、国土交通省技術基準告示により以下のような制限が設けられています。
- 1つの開口部の幅は4m以下に制限される
- 耐力壁線に対する開口部の幅の合計は、その耐力壁線の長さの3/4以下とする
- 開口部の幅が90cm以上の場合、「まぐさ」と呼ばれる補強用の横材が必要
- 壁面に対して開口部は1/4以下に抑える必要がある
これらの制約により、窓の大きさや配置が限られ、自由な採光・通風計画を立てづらくなることもあるため注意が必要です。特に、南面を窓だらけにして冬の太陽光を最大限活用したい場合などに、設計上の制限を受けることになります。
また、広々とした大空間や吹き抜けデザインを実現するのも難しい場合があり、デザインの自由度が制限されることもあります。
ツーバイフォー住宅を検討する際は、構造的な強さと引き換えに、デザインや間取りの自由度にある程度の制限があることを理解しておくことが大事です。
ツーバイフォーを「やめたほうがいい人」の特徴
ツーバイフォー住宅は、構造上の特性から以下のようなニーズを持つ人には向いていない可能性があります。
- 将来的に大規模リノベーションを想定している
- 吹き抜けや柱なし大空間などデザイン性を追求したい
- 家族構成変化を見据えた柔軟な住まいを求めている
ツーバイフォーの制約がネックになることもあるため、慎重に検討することが大事です。
それぞれの内容について確認していきましょう。
将来的に大規模リノベーションを想定している
20〜30年後など将来的に大規模なリノベーションを考えている人にとっては、ツーバイフォー住宅は慎重な検討が必要です。
ツーバイフォーは壁で建物を支える構造で、間取り変更を伴うリノベーションには制約が多くなるためです。
例えば「将来的に子ども世帯と同居するため、二世帯住宅に改築したい」といった希望がある場合には、事前に実現可能かどうかを確認しておくことが大切です。
構造的な制限や工事内容の複雑さによって、在来工法の住宅と比べてリノベーション費用が高くなることがあります。
また、売却する際にも、リノベーションを前提とした購入を検討している買主からは選ばれない可能性がある点にも注意が必要です。
吹き抜けや柱なし大空間などデザイン性を追求したい
吹き抜けや柱なしの大空間など、デザイン性を追求したい人にもツーバイフォーは向いていない可能性があります。
ツーバイフォーは、柱や梁で強度を確保する在来工法と比べて、自由な設計に制約が生じやすいのが特徴です。
例えば、リビング・ダイニング・キッチンを一つの大空間にまとめた一体型の間取りや2階まで吹き抜ける開放的な空間、大胆なガラス張り、スケルトン階段などは実現が難しいことがあります。
そのため「建築家と相談しながら自由度の高いデザイン住宅を建てたい」と考えている場合は、ツーバイフォーの構造的な制限がネックとなる可能性があります。
デザイン性を追求したい人は、事前に実現したいデザインを不動産会社や建築家と共有し、ツーバイフォーでも実現可能かどうか確かめておくことが大事です。
家族構成変化を見据えた柔軟な住まいを求めている
ツーバイフォーをやめたほうがいい人の特徴の一つに、家族構成の変化に柔軟に対応できる住まいを求めている点が挙げられます。
ツーバイフォーは、構造上、リフォームやリノベーションに制約があるため、ライフステージの変化に合わせた間取り変更が難しい場合があります。
- 子どもの成長に合わせて一部屋を二つに分ける
- 子どもが独立した後に部屋を統合する
- 高齢の親と暮らすためにバリアフリー化する
- 二世代・三世代で同居できる住まいに改築する
- 在宅勤務に対応するワークスペースを後から設ける
こうした変更を将来的に想定している場合は、ツーバイフォーでも実現可能かどうかを建築会社などに確認しておくことが大事です。
実現が難しい場合は、家族構成の変化に対応できず、不便に感じる可能性があります。
ツーバイフォーで後悔しないための対策
ツーバイフォー住宅で後悔しないためには、事前に必要な対策を理解しておくことが大切です。
対策を把握しておくことで、ツーバイフォー特有のデメリットやリスクを最小限に抑えられます。それぞれの対策について見ていきましょう。
将来の間取り変更を見据えて設計する
ツーバイフォー住宅は、間取り変更に制約があるため、将来のライフスタイルの変化を見越した設計をしておくことが重要です。
そのため、可動式の間仕切りを取り入れたり、水回りの位置や電気配線・配管を柔軟に対応できるようにしておくなど、将来のリフォームを想定した準備をしておくことが大切です。
まずは、将来どのような間取りの変更が必要になる可能性があるのか、家族で話し合ってニーズを整理しましょう。
その上で、設計士や不動産会社と打ち合わせを行い、実現可能かどうか、費用はどれくらいかかるのかを事前に確認しておくと安心です。
湿気・結露対策と換気計画を十分に検討する
ツーバイフォー住宅は換気が不十分だと湿気がこもりやすく、結露やカビの原因になる可能性があります。
湿気や結露、カビなどを防ぐためには、換気をしっかりと行い、室内の空気を循環させることが大切です。
基本となるのが24時間換気システムの活用です。
第一種〜第三種といった換気方式の違いや換気性能、フィルターの種類、メンテナンスのしやすさなどは機種によって異なるため、不動産会社に確認しておきましょう。
また、定期的なフィルター清掃やメンテナンスを欠かさず行うことも大切です。
さらに、湿気が気になる時期には、空気清浄機や除湿機を併用することで、室内の空気環境をより快適に保つことができます。
日常生活においても、できるだけ室内干しを控えたり、料理中にはこまめに換気を行うなどの工夫が湿気対策には効果的です。
施工実績が豊富なハウスメーカーを選ぶ
ツーバイフォー住宅で後悔しないためには、施工実績が豊富なハウスメーカーを選ぶことが大切です。
施工実績が豊富な会社は多くのノウハウを蓄積しているため、安定した品質の家づくりが期待できます。
ツーバイフォーの施工棟数や事業開始からの年数などをチェックしましょう。
また、アフターサービスや保証内容が充実しているかどうかも確認が必要です。
保証やアフターサービスが充実していれば、入居後に建物や設備に不具合が生じた際も、無償で対応してもらえるため安心です。
そのほかにも、口コミや評判が良いかどうか、施工の品質を第三者機関がチェックする体制が整っているかなども、確認しておくとよいでしょう。
「家づくりプラン」で最適なハウスメーカーを選ぶ
ツーバイフォー住宅を検討する際は、自分たちに合ったハウスメーカーを見つけるために、しっかりと比較することが大切です。
上場企業のリビン・テクノロジーズが提供する「家づくりプラン」を利用すれば、効率的に比較が行えます。
「家づくりプラン」は複数のハウスメーカーや建築会社に対して、間取り、土地、資金計画などを一括で作成依頼できるため、効率的に比較を進めることが可能です。
プランの内容や実績、口コミ、対応、保証などを比較することで、自分たちに合ったハウスメーカーを選ぶことができます。
また、ツーバイフォーだけでなく、在来工法を採用しているハウスメーカーとも比較することで、より納得のいく選択につながります。
この記事の編集者
メタ住宅展示場 編集部
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