「えっ、そんなに?」戸建ての建て替え費用が跳ね上がる5つの要因

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「えっ、そんなに?」戸建ての建て替え費用が跳ね上がる5つの要因

戸建ての建て替えを考え始めたとき、多くの人が最初に直面するのが「費用は結局いくらかかるのか」という不安です。

建物本体の価格だけを見ていると安心してしまいがちですが、実際には解体費用や地盤改良、仮住まい、外構工事などが重なり、「想定より何百万円も高くなった」というケースは少なくありません。

特に建て替えは、新築とは異なり既存住宅ならではの追加費用が発生しやすい点が特徴です。

本記事では、戸建ての建て替えにかかる費用の全体像と相場を整理したうえで、費用が跳ね上がる具体的な要因と、その対策までをわかりやすく解説します。

戸建てを建て替える流れと費用の相場

戸建ての建て替えは、解体から新築完成まで複数の工程があり、それぞれの段階で費用が発生します。

事前に全体の流れと費用相場を把握しておくことで、計画を立てやすくなり、想定外の出費やトラブルを防ぎやすくなります。

建て替えでは「建物本体の価格」だけでなく、解体や仮住まいなど、工程ごとにさまざまな費用が発生します。まずは、主な費用項目と相場を一覧で確認しておきましょう。

工程 内容 費用相場
既存住宅の解体 建物解体、外構撤去、廃材処分など 100〜150万円
地盤調査 建築前に行う地盤の強度調査 5〜15万円
新築工事(建物本体+付帯工事) 建物本体、基礎・給排水・電気工事など 1,900〜3,300万円
仮住まい・引っ越し 仮住まい家賃、引っ越し2回分など 100〜220万円

これらの費用は、建物の構造や敷地条件、建築会社、工事期間などによって変動します。
次からは、それぞれの工程ごとに、費用の内訳や金額が変わりやすいポイントを詳しく見ていきましょう。

① 既存住宅の解体:100~150万円

戸建てを建て替える際には、既存住宅の解体費用が発生します。

解体費用は建物の構造によって異なり、一般的には「鉄筋コンクリート造>鉄骨造>軽量鉄骨造>木造」の順で高くなる傾向があります。

また、敷地の立地条件や周辺環境によっても費用は左右されるため注意が必要です。

例えば、工事車両を駐車できるスペースの有無や、重機が進入できる道路幅が確保できるかどうかによって費用が変わります。庭石や庭木、フェンスなどの外構がある場合は、撤去費用がかかり、解体費用が割高になりがちです。

解体工事は専門の業者に依頼するのが一般的で、工事完了までに1カ月程度かかるケースもあります。

② 地盤調査の実施:5~15万円

建て替えを行う際には、地盤調査を実施する必要があります。

地盤調査は、建築基準法に基づき義務付けられており、建物を安全に建てられるかどうかを判断するための重要な工程です。

調査によって地盤が弱いと判断された場合には、地盤改良工事が必要となり、追加費用が発生するケースもあります。

地盤調査を実施していない場合、住宅瑕疵担保責任を果たすための保険に加入できず、万が一の際に十分な補償を受けられない可能性があるため注意が必要です

地盤調査の費用相場は5万〜15万円程度ですが、調査方法や業者、地盤の状態などによって金額は前後します。

③ 新築工事(建物本体+付帯工事):1,900~3,300万円

戸建ての新築工事にかかる費用相場は1,900〜3,300万円程度です。

例えば、木造2階建て住宅を建てる場合、大手建築会社・ハウスメーカーであれば3,000万円前後、中堅の建築会社やローコストのハウスメーカーであれば1,800〜2,500万円が一般的な相場です。

ただし、延床面積や間取り、設備グレードによって金額は大きく変動します。

また、建物本体とは別に外構工事費が必要となり、駐車場やフェンス、アプローチなどを含めて100〜300万円程度を考えておくと安心です。

依頼する建築会社やハウスメーカー、建物の構造や仕様によっては、想定以上に費用が膨らみ、相場の倍以上となるケースもあるため事前の確認が大切です。

④ 仮住まい・引っ越し・再引っ越し:100~220万円

戸建てを建て替える際には、仮住まいや引っ越しにかかる費用についてもあらかじめ考慮しておく必要があります。

既存住宅を解体するタイミングで一度仮住まいへ引っ越し、新居の完成後に再度引っ越すことになるため、通常は引っ越しが2回発生します

その分、費用や手間がかかる点には注意が必要です。

仮住まい先としては、一般的な賃貸住宅のほか、UR、マンスリー・ウィークリーマンションを利用する人も多く、建て替え期間や家族構成などに応じて選ばれています。

例えば、半年以上賃貸住宅で生活する場合、家賃や共益費、駐車場代などを含めて100〜200万円程度かかることも珍しくありません。

また、引っ越し費用は依頼する業者や荷物量、移動距離、繁忙期かどうかによって変わりますが、3〜20万円程度が目安です。

建て替え費用が「跳ね上がる」5つの要因

建て替え費用が跳ね上がる要因を把握しておくことで、想定外の出費や予算オーバーを回避しやすくなります。

建て替えは本体工事以外にも、解体や地盤改良、外構工事などさまざまな費用が発生するため、事前に理解しておくことが大事です。

ここでは、建て替え費用が跳ね上がる5つの要因について見ていきましょう。

① 建物の材質や構造による解体工事費の割り増し

建て替え費用が大きく跳ね上がる要因の一つが、解体工事にかかるコストです。

解体費用は建物の材質や構造によって大きく異なり、一般的には木造よりも鉄骨造、鉄筋コンクリート造のほうが高額になる傾向があります。

また、以下のケースに該当する解体では、通常の解体工事よりも費用が大幅に増加する可能性があります。

  • 建物が古くアスベストが含まれている
  • 狭小地などで重機が入らなず手作業による解体が必要
  • 地中埋設物の撤去や処分が必要

② 地盤の問題による補強工事費の発生

戸建ての建て替え費用が想定以上に膨らむ要因の一つが、地盤の問題による補強工事費の発生です。

建築前には地盤調査が行われますが、軟弱地盤と判断された場合には地盤改良工事が必要となり、追加費用が発生します。特に、古い住宅地や過去に造成された土地では、地盤の締め固めが不十分なケースも見られ、不同沈下のリスクが高まるため注意が必要です。

補強工事の費用は内容や敷地条件などで異なりますが、一般的な費用相場は30〜180万円程度が目安とされています。

地盤改良の方法には、表層改良、柱状改良、鋼管杭工法などがあり、一般的にはこの順に費用が高くなる傾向があります。建物の重量や階数によって適切な工法が選ばれるため、追加費用が発生する可能性を見込んだうえで、余裕を持った資金計画を立てることが大事です。

③ 給排水・電気設備の劣化による引き直し工事の発生

建て替え費用が高くなる要因として、給排水や電気設備の劣化による引き直し工事の発生が挙げられます。

特に築30年以上の住宅では、給水管や排水管が腐食や劣化し、詰まりのリスクが高まっているケースが少なくありません。そのため、建て替えにあわせて配管をすべて新しく引き直す必要が生じることが多く、追加費用が発生します。

前面道路に埋設されている配管の位置や老朽化の状況によっては、道路を掘削して配管工事を行う必要が出てくる場合もあります。

また、電気設備についても注意が必要です。電化製品の増加により電気使用量が多く、電気容量の増設工事が必要になるケースがあります。

さらに、エコキュートの導入に伴う配管や配線の追加工事も、費用を押し上げる要因となります。

④ 工程のズレによる引っ越し・滞在費の追加負担

建て替え費用が大きく膨らむ要因として、工事工程のズレによる引っ越し費用や滞在費の追加負担が挙げられます。

解体工事から地盤改良、建築工事までの工程は綿密に計画されますが、実際の現場では計画どおりに進まないケースも少なくありません。

工程がズレ込むことで、仮住まいの期間が当初の予定より1〜3カ月ほど延びてしまうこともあります。

特に、梅雨や台風といった天候の影響を受けやすい時期や建築資材の納期遅延、職人不足などが重なると、工事全体のスケジュールが大きく狂ってしまいます。

その結果、仮住まいの家賃に加えて、駐車場代や荷物預かり費用などの追加出費も発生するため注意が必要です。

⑤ 外構のデザイン変更による追加費用

建て替え費用が大きく膨らむ要因の一つが、外構のデザイン変更による追加費用の発生です。

特に、カーポートやアプローチ、フェンス、門柱などを新たに設置する場合は、デザイン性や素材にこだわるほどコストが大きくなり、予想外の出費につながりやすくなります。

また、建て替えによって建物の配置などが変わると、既存の外構をそのまま活用できず、大幅な外構のやり替えが必要になるケースも少なくありません。

外構工事は後回しにされやすい部分ですが、建て替え費用を正確に把握するためには、できるだけ早い段階から外構の内容や予算まで含めて検討しておくことが大切です。

建て替え費用を抑えるための実践的な方法

戸建ての建て替え費用を抑えるためには、事前に具体的な節約方法を把握しておくことが大切です。建て替えでは本体工事費だけでなく、税金やオプション費用、仮住まいにかかる費用など、さまざまな支出が発生します。

そのため、無駄な出費をできるだけ抑える意識と工夫が重要です。

ここでは、建て替えを進める際に意識しておきたい節約方法について見ていきましょう。

「使い切れる広さ」の家を建てる

建て替え費用を抑える際に効果的なのが「使い切れる広さ」を意識した住まいづくりです。

延床面積を必要以上に広くすると、本体工事費が高くなるだけでなく、外構工事費やメンテナンス費用、毎月の光熱費まで増えてしまいます。

特に20〜40代の子育て世帯は「将来子どもが成長したら使うかもしれない」「部屋が多いほうが何かと安心」といった理由から、実際には使わない可能性の高い部屋まで想定して計画を進めてしまいがちです。

そして、空き部屋や物置状態のスペースが生まれ、コストだけが膨らむケースも少なくありません。

このような失敗を防ぐためには、建て替え前に家族構成や生活動線、在宅時間、将来のライフスタイルの変化を整理することが大切です。

家族でしっかり話し合い、ハウスメーカーの担当者にも相談することで、自分たちにとってベストなプランが見えてきます。

「本当に必要な部屋数や広さ」を明確にすることで、無駄な坪数を削減でき、建築費全体を大きく抑えることにつながります。

標準仕様を活用し、オプションや造作を絞り込む

戸建ての建て替え費用を抑えるためには、標準仕様を上手に活用して、オプションや造作工事は本当に必要なものだけに厳選することが大切です。

近年は住宅設備の品質が大きく向上しており、キッチンや浴室、洗面台、収納といった主要設備においても、標準仕様で十分な機能性やデザイン性を備えているメーカーが増えています。

そのため、必ずしも高額なオプションを追加しなくても、日常生活で不便を感じることはほとんどありません。

また、標準仕様でも耐久性やメンテナンス性に優れた設備が多く、長期的に見ても安心して使い続けられます。

オプションや造作家具は、デザインや使い勝手にこだわり理想の住まいに近づけられる反面、費用が数十万〜数百万円増え、予算を大きく圧迫する要因となります。

複数のオプションや造作家具を取り入れた場合、想定以上に建築費が膨らんでしまうケースも少なくありません。

そのため、すべてにこだわるのではなく「本当に必要な部分」「なくても困らない部分」を整理して、優先順位をつけて検討することが大事です。

「なくても困らない部分」から削っていくことで、効果的に建築費用を抑えることが可能です。

工期と引き渡し時期を調整して仮住まい期間を短縮する

戸建ての建て替え費用を抑えたい場合は、建築費だけでなく仮住まいにかかる費用にも目を向けることが大切です。

仮住まい期間が長引くほど家賃や駐車場代などが積み重なり、想定以上の出費につながってしまうためです。

特に梅雨や台風シーズン、年末年始をまたぐ工事は、天候不良や職人の稼働調整の影響で工程が延びやすく、仮住まい期間が長くなる傾向があります。

こうした事態を避けるためには、着工時期を少しずらすだけでも効果的です。

天候が比較的安定している時期や長期休暇を避けたスケジュールで工事を進められれば、仮住まい費用を数十万円単位で抑えられる可能性もあります。特に家賃が高いエリアでは、この差が家計に大きく影響します。

引き渡し予定日を事前に明確にし、そこから逆算して各工程のスケジュールを組むことも大切です。

ハウスメーカーと綿密に打ち合わせを行い、最適なスケジュールを立てることで、仮住まい期間を短くし、トータルの建て替え費用を抑えることができます。

補助金・減税・ローン優遇をフル活用して実質負担を下げる

補助金や減税、住宅ローンの優遇制度などを上手に活用することで、建て替えにかかる実質的な費用負担を抑えることができます。

近年は、省エネ性能の高い住宅を対象とした支援制度が充実しており、建て替えであっても補助金の対象になるケースがあります。

例えば、「子育てグリーン住宅支援事業」「ZEH補助金」などがあり、一定の基準を満たす家を建てることで、補助金を受け取ることが可能です。

また、住宅ローン減税を利用すれば、年末のローン残高に応じて所得税や住民税の控除を受けられます。長期優良住宅に認定されると、住宅ローンの金利優遇や税制優遇(登録免許税や固定資産税など)、地震保険料の割引などを受けられる点もメリットです。

ただし、これらの補助金や減税制度は年度ごとに内容や条件が変更されることも多く、予算上限に達すると受付終了となる場合もあります。

そのため、早い段階で最新情報を確認し、活用可能な補助金や減税を資金計画に組み込むことが大切です。

複数社から相見積もりを取り、総額と内訳で比較する

戸建ての建て替え費用を抑えるためには、複数のハウスメーカーから相見積もりを取り、内容を比較することが大事です。

複数社の見積もりを並べ、総額だけでなく工事費や諸費用、標準仕様の範囲など内訳まで確認することで、無駄なコストを省き、予算内で建てられるハウスメーカーを見つけやすくなります。

また、価格面だけでなく、デザイン性や標準設備の充実度、保証内容、担当者の対応、口コミなども比較することで、建て替え後の満足度を高めることができます。

複数のハウスメーカーを比較する際は「家づくりプラン」の利用がおすすめです。

家づくりプランは上場企業が提供する比較サービスで、1度の入力で資金や土地、間取りプランの作成を複数のハウスメーカーや工務店へまとめて依頼できます。

各社から提案されたプランや金額を比較しながら検討できるため、自分たちの条件に合ったハウスメーカーを選ぶことが可能です。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 メタ住宅展示場 編集部

メタ住宅展示場はスマホやPCからモデルハウスの内覧ができるオンライン住宅展示場です。 注文住宅の建築を検討中の方は、時間や場所の制限なくハウスメーカー・工務店を比較可能。あなたにヒッタリの家づくりプランの作成をお手伝いします。 注文住宅を建てる際のノウハウなどもわかりやすく解説。 注文住宅でわからないこと、不安なことがあれば、ぜひメタ住宅展示場をご活用ください。

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