家を買うべきか迷ったら「買わないリスク」を整理してみましょう

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家を買うべきか迷ったら「買わないリスク」を整理してみましょう

「家を買うべきか、それとも賃貸のままか・・・」

結婚や出産をきっかけに、住まいに関する悩みに直面する人は少なくありません。

同世代の知人が家を購入したという話を聞けば、「自分たちもそろそろ」と意識することもあるでしょう。
しかし、今の暮らしに大きな不満があるわけではなく、賃貸でも十分に快適。家賃を払い続けるのはもったいない気がするものの、35年ローンを組んで何事もなく完済できるかと言われれば不安が残ります。

こうした迷いから、持ち家か賃貸かを決断できないケースは珍しくありません。

持ち家か賃貸か決断する一つの方法が、「家を買わないリスク」を整理してみることです。家を買わないことで生じるリスクを整理してみると、自分にとって本当に必要な選択が見えてくる可能性があります。

ここでは、家を買わない場合に起こり得るリスクを整理するので、賃貸と持ち家、どちらが自分に合うのかを考えてみましょう。

家を買わずに賃貸に住み続けるリスク

家を買わずに、賃貸に住み続けた場合、以下のようなリスクが考えられます。

リスク 理由・背景
老後の住まいが不安定になる 高齢になると入居審査が厳しくなり、保証人や貯蓄額を求められることがある。
家賃を一生払い続ける必要がある 定年後も支払いが続くため、年金生活では家計を圧迫するリスクがある。
資産が残らない 家賃を払っても自分の資産にならず、相続財産にもならない。
住宅設備を自由に変えられない 原状回復義務があり、リフォームやリノベーションが制限される。
家賃上昇や立ち退きのリスクがある オーナーの都合で退去や家賃改定を求められることがある。
家族の安心感を得にくい 「自分の家」という拠点がないため、心理的な安定感や帰属意識を得にくい。
社会的信用・ローン審査に影響する 持ち家があると金融機関の評価が上がり、車や教育ローンが通りやすい傾向がある。
ステータス的な満足感を得にくい 同世代がマイホームを購入する中で、“自分だけ賃貸”と感じることがある。
家賃補助や更新料などの制度に左右される 勤務先の家賃補助の有無や契約更新料など、自分でコントロールできない支出がある。
購入の決断を先送りしてしまう 判断を先延ばしにしているうちに年齢が上がり、ローン審査や選択肢が狭まる。

家を買わないことで生じるリスクはあるものの、一方で、賃貸で暮らし続けることにもメリットがあります。

どちらにも利点と注意点があるからこそ、「家を買うべきか、それとも買わないべきか」は、自分や家族の将来像に照らして考えることが大切です。

家賃がかかり続ける

家を購入しない場合、賃貸物件を借り家賃を支払い続ける必要があります。家賃に付随して契約更新時の更新料も必要です。

住宅ローンを組み家を購入する場合も毎月の支払いはありますが、完済後の支払いはありません。賃貸の場合はいくら支払いを続けても、自分以外の誰かのモノである事実は購入を検討するきっかけになるでしょう。

高齢になったとき、賃貸しにくくなる

一般的な賃貸契約である「普通借家契約」では、基本的に家賃滞納や契約違反といった「正当事由」がない限り、貸主の更新拒否は原則として認められません。そのため、契約さえできれば長期間住むことが可能です。

しかし、家賃の安い物件への住み替えや、生活拠点を変えるための引っ越しを検討する場合には、新たな物件で改めて審査を受ける必要があり、年齢が高いほど条件が厳しくなるのが実情です。

家の使い方や設備変更が制限される

賃貸住宅では、間取り、内装、設備において自由に改修できないという制約があることがほとんどです。

例えば、キッチンや浴室の交換、壁や床材の変更といった設備更新については、オーナーの承諾が必要になります。借主が無断で改修を行った場合には、原状回復義務によって原状への復旧を求められたり、契約解除の対象となることもあります。

また、設備が古い物件でも、オーナー側に交換義務がないため、「古くても使い続けなければならない」という選択を迫られることさえあります。

そのため、ライフスタイルや家族構成が変化したときに、「こう暮らしたい」「こう使いたい」と願っても住まいがそれに応えてくれない可能性が、賃貸には存在します。

しかし、持ち家ならば、自分や家族のニーズに合った理想の住環境を追求しやすく、長期的なライフスタイルに適応した住まいを確保できる可能性が高くなります。

さらに、年齢に応じてバリアフリー化を進めたり、老後の暮らしに備えて平屋に建て替えたりなど、将来の生活スタイルに合わせた改修ができるのも、持ち家の大きなメリットです。
賃貸ではこうした柔軟な対応が難しいため、持ち家ならではの長期的な住みやすさを追求できます。

家を購入した際に考えられるリスク

自身にとっての最適解を導き出すため、「家を購入すべきではない」と考える方の意見についても見てみましょう。

地震や火事で家を失っても住宅ローンの支払いは続く

保険に入っていても、地震・家事・津波・土砂崩れといった自然災害で家を失ったり損傷したりした場合、全額を必ず保障されることはありません。

住宅ローンが残っている場合、住宅ローンの支払いもしながら、保険でまかなえなかった立て直し費用を支払う必要があります。

一方賃貸物件に住んでいる場合は、家財については火災保険の範囲で保障を受け、新しい家を探し住み替えられます。

持ち家のほうが災害時のリスクが大きいことから、家を買うべきではないと考える方が一定数いるのは確かです。

子どもにとっての負債になる

家のローンを支払い終わっていても、実家があることが子どもにとって負担になるケースもあります。すでに子世帯も家をもっていて、実家に住む必要がない場合にまず取られる手段が売却です。

売却が思うように進まず更地にしなければならない、となれば取り壊しの費用もかかります。

家の解体費用の目安
構造種類 30坪の解体費用目安 坪単価目安
木造 90~150万円 3~5万円
鉄骨造 120~180万円 4~6万円
RC造 180~240万円 6~8万円

不動産価格によっては相続税とあわせ、多くの支払負担がかかるケースもあるでしょう。将来を見越し、持ち家があることによる子どもの負担を考えれば、家を買うべきではないという意見もあります。

近隣トラブルに遭ったとき、転勤のときでも引っ越ししにくい

持ち家の場合、近隣トラブルや、転勤になったときでも、気軽に引っ越しができないのがデメリットになりがちです。引っ越しで生活が困窮してしまうケースもあります。

株式会社AZWAYの2023年調査によれば、近隣トラブルにあったことがある割合は、有効回答数500人の24%を占めています。約4人に1人が近隣トラブルに遭っていると考えると、無関係でずっと過ごせる保証はないことを、視野に入れて検討する必要があります。

また、近隣トラブルは距離の近さから対応も難しく、悩んでいるうちにより悪化してしまうこともあります。

いつどのように身に降りかかるかわからない近隣トラブルから、気軽に身を引ける」のは、賃貸暮らしのメリットと捉えられます。

万が一離婚したとき面倒

離婚する際、持ち家があると財産分与をするときに面倒になる、ということで持ち家は避けたいと考える方もいます。家の財産分与を行う際、どちらかが住み続けるのか、手放すのかによっても手続きは変わります。

住宅ローンがある場合と完済している場合でも、手続きが異なります。ローン返済中で配偶者が住み続ける選択をした場合、家の売却価格がローン残高を上回れば、財産分与の対象です。対象となる場合、ローン残高と売却価値の差額を半分にしたものが、それぞれの取得額となります。

共有名義でローンがあり、どちらかが住み続ける場合は所有権移転登記も行います。また、所有権を持つ側が支払えなくなったときに負債を負わずに済むよう、連帯保証人となっている場合は連帯保証人を外すことも大切です。

このように持ち家で離婚となった場合、その状況次第で手続きも煩雑さも異なりますが、さまざまな手続きが必要になり離婚までが長引く原因にもなりがちです。

家を買うべきか買わないべきかの判断方法

家を買うべきか悩んだときには、以下をポイントに検討するとスムーズに最適解を選びやすくなります。

  • 安心を取るか身軽さを取るか
  • 死後に家を引き継いでくれる人はいるか
  • 家族にとって暮らしやすいのはどちらか
  • 今後実家など引き継ぐ予定はあるか

安心を取るか身軽さを取るか

住宅ローンの負担、転勤時のことなど考えると気軽に引っ越しできるのは賃貸暮らしのメリットです。すでに家族構成が確定していている場合や、引っ越しする可能性もほぼないという状況であれば持ち家でも良いでしょう。

ただし年を重ねていくと賃貸物件を新たに借りることが難しく、住むところを探すのに苦労するケースは少なくありません。安心して住み続けられる場所があるのは、持ち家暮らしのメリットとなることも踏まえて検討する必要があります。

死後に家を引き継いでくれる人はいるか

自分たちの死後、家を引き継いでくれる子どもなどがいない場合は、空き家になってしまいます。基本的に持ち家で生活していた単身世帯で所有者が死亡した場合は、法定相続人に権利が引き継がれます。

空き家対策として、生前に売却することも可能です。また、一度売却しリースバックで住み続ける方法も選べます。この場合は、死後に売却した不動産会社が管理と運営を行う流れになるため、空き家となるリスクは避けられます。

家族にとって暮らしやすいのはどちらか

家族にとって暮らしやすいのはどちらか検討する際には、「ひとつのところで住み続けるのがメリットになるか」を考えると良いでしょう。

例えば、子どもが学生であれば、転校を避けて同じ学校に通い続けたいという要望があるかもしれません。また、夫婦のどちらかが転勤する際、持ち家がある家庭では単身赴任を選択するケースが多い傾向にあります。

親との時間や家庭での安定した環境は、子どもにとって重要です。転勤となった際、子どもを転校させるか、学校を優先して単身赴任の形を取るのかという視点で考えてもよいでしょう。

一方、賃貸に住むことで、住む場所を柔軟に変えながらさまざまな地域に住む経験ができることも、家族にとってはメリットと感じられるかもしれません。仕事やライフスタイルの変化に合わせて、自由に引っ越しができるのは賃貸ならではの利点です。

家族それぞれの意見や価値観から、どちらを選ぶのがよりよい選択となるのか検討してみましょう。

今後実家など引き継ぐ予定はあるか

親世帯が持ち家に住んでいて、相続でその家に住んでもよい、むしろ住みたいのであれば、新たに家を購入する必要性は低いかもしれません。

とはいえ、売る前提で家を購入するのであれば検討の価値はあります。地価が上昇しているエリアの購入であれば、儲けを出すことも可能です。

売ったお金を元手に、相続後にリフォームもできます。思い出としてこの柱だけは残しておきたい!など、注文住宅であれば柔軟に対応してもらえるでしょう。

ただし、この場合、土地は自分で選べません。いまの自分たちにあった居住地を選びたいのであれば、実家に住む選択は意思に反した決断です。

実家などを売ったお金を元手に、新居を購入するか賃貸物件に住むかを選ぶことになるでしょう。その際は実家の売却価格を判断基準に、新たな家を購入するのか、貯金して賃貸物件に住むのかを決断する方法もあります。

家を買うなら知っておきたいベストタイミング

家の購入経験がある500人を対象に行った「家を買ったタイミングに関する意識調査(株式会社AlbaLink)」から、どんなタイミングで家を買った人が多いのか見てみましょう。

家を購入した平均年齢は33歳

25歳から50歳以上の方に行われたアンケートでわかったのは、家の購入時期のボリュームゾーンは30代前半(平均33歳)で、35.2%でした。

次いで多いのが20代後半で32.8%となり、半数以上が20代後半から30台前半の10年間の間に家を購入しています。そのほかの世代については30代後半が15.6%、40代前半が6.4%、20代前半で5.4%と続きました。

住宅ローンの完済条件が80歳まで、となっていることや、定年退職までに完済したい、という思いからこの時期に購入するケースが多いといえます。

妊娠・出産を機に家を購入する人が多い

年齢とは別に、「家を購入したタイミング」という質問に対して、一番多かったのが「妊娠・出産」で500人中122人がこの回答でした。次いで多かったのが、「子どもの入園・入学」の79人、「結婚・婚約」の77人となりました。

このように家族構成の変化を見越した家の購入が多いことを踏まえると、ある程度将来像が見えたところで家を購入するのがベストと考えて良いでしょう。

そのほかの回答を見てみると、4番目に多かったのが「購入資金を確保できた(21人)」「子どもが大きくなった(21人)」「良い物件があった(19人)」となっています。

家族構成の変化と確定、資金面や良い物件との出会いをきっかけにすれば、「この物件にしなければよかった」という後悔とは縁遠い買い物になりやすいでしょう。

購入を決めてから実際の購入に至るまでは約1年

家を購入しようと思ってから、どれくらいの期間で実際に購入に至ったのか、という設問で一番多かった回答は「1年以内(33.2%)」でした。

家を購入する場合、できるだけ住宅ローンの金利を抑えてローンを組むことが、総支払額を抑えるのに有効です。それには、事前に現金で支払う金額を増やすことが一番です。

また、利息を含めた総支払額を抑えるなら返済期間を短くする方法も有効です。

それと合わせ、どんな間取りが自分たちに最適なものか、いろいろな建築例や、後悔例をチェックして検討する時間も必要でしょう。

あわせて長期間住み続けるため、立地の問題も含めると、「希望に合った家が建てられる土地(や建売住宅)」を見つける期間も必要です。

どんな家に住みたいか、資金計画をどうするか、いくつか不動産会社にプランを出してもらい比較検討することも必要ですから、相応に時間がかかるケースが多いのではないでしょうか。

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この記事の編集者

リビンマッチ編集部 メタ住宅展示場 編集部

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