新築の床暖房、5種類の費用相場とメリットデメリット、注意点とは

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新築の床暖房、5種類の費用相場とメリットデメリット、注意点とは

床暖房とは、床下に熱源を取り付けて部屋を暖める設備のことです。床に直接触れることで温かさを感じる熱と、床から放出され部屋に広がる熱、両方が部屋を暖めます。

本記事は、床暖房を新築時に導入すべきかどうかで迷われている方が最終判断できるように作成しました。判断材料として5種類の床暖房のメリットとデメリット、費用相場、床暖房を導入して後悔しないためのチェックポイント3選を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

床暖房は5種類!それぞれの特徴、メリットとデメリット

下記のように床暖房は5種類あります。

5種類の床暖房の特徴
5種類の床暖房 蓄熱式床暖房 PTCヒーター式床暖房 電熱線式床暖房 温水式電気床暖房 温水式ガス床暖房
エネルギー 電気 ガス
初期費用 比較的高額 狭い面積なら安価 安価 比較的高価(ヒートポンプ熱源費用必須) 比較的安価(ガス熱源費用必須)
メンテナンス ほぼなし 基本的には不要(熱源機が故障した場合、修理費用が必要)

熱源が電気とガスの2種類あるのに加えて、設置条件や費用、メンテナンスの有無などがそれぞれ異なります。

どの床暖房も、新築住宅への設置が好ましいことは共通しており、蓄熱式床暖房を除けば戸建、集合住宅問わず設置可能です。

蓄熱式床暖房

電気代が安価になる深夜の時間帯に蓄熱し、その熱を日中使用するのが蓄熱式床暖房です。

蓄熱式床暖房の主なメリットは次のとおりです。

  • 室内を均一に暖められる
  • ランニングコストが安い
  • メンテナンスがほぼ不要
  • やけどの心配が少ない

蓄熱式床暖房の主なデメリットは次のとおりです。

  • 初期費用が高額
  • 毎回の温度調整ができない

以下で詳細を説明します。

【メリット1】室内を均一に暖められる

広範囲に設置すればするほど、効果が高くなるのが蓄熱式床暖房の特徴です。

室内を均一に暖められるため、場所や時間帯による温度差も最小限に抑えられ、比較的低い室温でも快適に過ごせます。

【メリット2】ランニングコストが安い

深夜に蓄熱するため、電気代が安く済みます。ランニングコストを抑えられるのがメリットです。

【メリット3】メンテナンスがほぼ不要

シンプルな設備のため、メンテナンスがほぼ不要です。半永久的に使用できます。

【メリット4】やけどの心配が少ない

熱源が電気なので、灯油などの燃料を補充する必要がなく、小さな子どもがいる家庭におすすめです。床の温度設定を低温にできるため、やけどの心配は少ないでしょう。

【デメリット1】初期費用が高額

断熱材などの使用により、蓄熱式床暖房はほかの種類の床暖房と比較すると高額です。

広い範囲に設置すると、その分費用がかかります。

【デメリット2】毎回の温度調整ができない

蓄熱式床暖房は、秋口にスイッチを「オン」にしたら、冬が終わるまで長期的に使うのが基本です。

「今日は寒いからスイッチを入れる」「暖かい日は切る」といった使い方ができません。温度調整は、タイマーなどで行います。

PTCヒーター式 床暖房

PTCヒーターは、ヒーターそのものが温度センサーの役割を持っているため、床面を無駄なく温められるのが特徴です。

たとえば、日光で一部分の床の温度が上がると、温度が上がった部分は発熱を制限し、電力を節約します。

PTCヒーター式床暖房の主なメリットは次のとおりです。

  • 省エネ、省コストである
  • 床面の温度が上がりすぎない
  • メンテナンスがほぼ不要
  • やけどの心配が少ない

PTCヒーター式床暖房の主なデメリットは次のとおりです。

  • 立ち上がりに時間がかかる
  • 床面の温度にムラが出る

【メリット1】省エネ、省コストである

温度が自動で調整されるため、温まった部分の床は発熱を抑えるなどして、省エネ効果を期待できます。

また、無駄な電力を使用しないため、その分、省コストにもつながります。

【メリット2】床面の温度が上がりすぎない

ヒーターがセンサーの役割を果たすため、床面の温度が急激に上がるのを防ぎます。

【デメリット1】立ち上がりに時間がかかる

PTCヒーターは床全体に温かさが行き渡るまで時間がかかるため、部屋で暖かさを感じられるまでに時間がかかります

【デメリット2】床面の温度にムラが出る

PTCヒーターは、床全体を温めにくい特徴があります。

敷設ふせつ率(床暖房パネルの設置面積÷床暖房を設置する居室の床面積)が低いため、電気結線けっせん部に触れると冷たさを感じてしまうことがあります。電気結線部とは、ヒーター、センサー、リモコンをつなぐ、床下の配線部分のことです。

電熱線式床暖房

電熱線パネルを床下に設置する、シンプルな施行方法で導入できるのが電熱線式床暖房です。

電熱線式床暖房の主なメリットは次のとおりです。

  • 初期費用を抑えられる
  • 狭いスペースに有効

電熱線式床暖房の主なデメリットは次のとおりです。

  • ランニングコストが高い

【メリット1】初期費用を抑えられる

床下に電熱線パネルを設置するだけで施工できるため、初期費用を抑えられます。

【メリット2】狭いスペースに有効

暖めたい部分を設定できるためリビングの一部分や、一部屋だけなど、部分的に暖めたい箇所がある場合におすすめです。

また、部分的に暖めることで省エネにもつながります。

【デメリット】ランニングコストが高い

床を温めるたびに電力を消費するため、ランニングコストが高いです。

温水式電気床暖房

温水式電気床暖房は温水が床下を循環することで、部屋を暖める仕組みです。電気を熱源とした床暖房のヒートポンプが、水を温水に変えます。

温水式電気床暖房の主なメリットは次のとおりです。

  • 電気代を節約できる
  • 火を使用しない

温水式電気床暖房の主なデメリットは次のとおりです。

  • 専用のヒートポンプが必要
  • 初期費用が高額

【メリット1】電気代を節約できる

ヒートポンプ式温水床暖房は、空気の熱を利用して温水をつくり効率よく部屋を暖めるため、電気代を節約できます。

【メリット2】火を使用しない

火を使用しないため、臭いや煙が気になりません。

【デメリット1】専用のヒートポンプが必要

温水をつくり出す専用ヒートポンプが必要です。設置スペースの確保も必要です。

【デメリット2】初期費用が高額

ほかの床暖房に比べ、初期費用が高めです。

また、ヒートポンプが壊れてしまうと、部品交換のための費用がかかります。

温水式ガス床暖房

温水式ガス床暖房は、ヒートポンプで温めた温水が床下を循環することで部屋を暖める仕組みです。ヒートポンプはガスを熱源として、水を温水に変えます。

温水式電気床暖房の主なメリットは次のとおりです。

  • 省スペースで設置できる
  • 温まるのが早い
  • 費用が一定である

温水式電気床暖房の主なデメリットは次のとおりです。

  • オール電化住宅では使用できない

【メリット1】省スペースで設置できる

使用機器が通常の給湯器と同じサイズのため、場所をとりません。

【メリット2】温まるのが早い

温水式ガス床暖房には「ホットダッシュ」という機能があり、床面を素早く温められます。

床が冷えているときは、通常より温度の高い温水をパイプに流して、部屋を暖めます。

【メリット3】費用が一定である

電力の場合は使用する時間帯によって費用が変わりますが、温水式ガス床暖房はガスが熱源のため、昼に使用しても夜使用しても費用は変わりません

【デメリット】オール電化住宅では使用できない

ガスを熱源とするので、オール電化住宅には対応できません。

種類別!床暖房の費用相場

下記では5種類の床暖房の費用相場を初期費用とランニングコスト別に紹介します。

5種類の床暖房の費用相場
床暖房の種類 初期費用(円) ランニングコスト(円/1カ月)
蓄熱式床暖房 100万円以上※1 約2,520※2
PTCヒーター式床暖房 1帖あたり約6~10万 約5,000~1万※3
電熱線式床暖房 1帖あたり約5~10万
温水式電気床 約4,000※4
温水式ガス床暖房 約3,210※5
  • ※1:設置面積やハウスメーカによって異なる。
  • ※2:毎日8時間の蓄熱、6帖
  • ※3:面積によって異なる。
  • ※4:毎日8時間使用、床温30℃。
  • ※5:木造8帖、1日8時間使用。

上記のように、床暖房にかかる費用はさまざまです。下記では、どんなタイプの人にどの種類の床暖房がおすすめかを解説します。

オール電化住宅を建てる人は蓄熱式床暖房がオススメ

夜間に安い電力で蓄熱し、広い範囲を温めるのに向いている蓄熱式床暖房は、オール電化住宅を建てる人におすすめです。

初期費用は高めですが、そのぶんランニングコストが低く、メンテナンスの心配もほぼありません。

耐用年数も、住宅と同じくらい長期間のため、長い目で見るとコストパフォーマンスがよいといえます。

初期費用を抑えたい人は電熱線式床暖房がオススメ

床下に電熱線パネルを設置するシンプルな施工のため、初期費用が安く済みます。

ただ、夜間の格安な電気を使わず、使用するたびに電力を消費するため、ランニングコストが割高です。そのため日中、家を空けることが多い方にもおすすめです。

早く部屋を暖めたい人は温水式ガス床暖房がオススメ

温水式ガス床暖房は、部屋が暖まるまでの時間が早いのが特徴です。

運転し始めに、通常より高い温度のお湯をパイプに流して、スピーディーに温めてくれるため、スイッチをオンにしてからすぐに部屋を暖めたい人におすすめです。

導入後に後悔しないためのチェックポイント3選

床暖房を導入するかどうか、後悔しないためのチェックポイント3選は次のとおりです。

  • すぐに暖まる必要はないか
  • エアコンより費用が高くても許容できるか
  • 寒さ対策以外に床暖房を導入したい理由があるか

すぐに暖まる必要はないか

床暖房は、1時間以上待たないと部屋全体が暖まりません。なぜなら、ふく射によって部屋を暖めるのが床暖房だからです。ふく射は床から放出された熱を壁や天井に反射させながら、熱で部屋全体を循環させて暖める仕組みです。

温風で部屋の空気をかき混ぜて暖めるエアコンに比べ、床暖房は部屋全体を暖めるのに時間がかかるため、すぐ部屋を暖めたい人にはおすすめできません。

タイマー機能を使って、部屋を暖めたいタイミングを指定することは可能です。

エアコンより費用が高くても許容できるか

以下はエアコンと床暖房の初期費用とランニングコストの相場です。

エアコンと床暖房の初期費用とランニングコストの相場
5種類の床暖房 エアコン 電気式の床暖房 温水式の床暖房
初期費用(万円) 10~15 60 80
ランニングコスト(円/1カ月) 5,000(1日8時間使用した場合) 1万3,000(1日10時間使用した場合) 8,000(1日10時間使用した場合)

床暖房の初期費用は電気式の場合は約60万円、温水式の場合は約80万円が相場です。一方、エアコンの初期費用は10~15万円が相場です。

床暖房のランニングコストは電気式の場合は月額約1万3,000円(1日10時間使用した場合)で、温水式の場合は月額8,000円(1日10時間使用した場合)が目安です。対して、エアコンは月額5,000円(1日8時間使用した場合)が目安です。

初期費用もランニングコストも、どちらも床暖房のほうがエアコンより費用が高い傾向にあります。

寒さ対策以外に床暖房を導入したい理由があるか

床暖房を設置するなら、新築のタイミングで導入するのが一番スムーズです。ただし、床暖房がなくとも部屋の断熱性や気密性を高めることで、寒さ対策は可能です。


断熱性とは断熱材を使うことで、屋外の気温の影響を遮る性能のことです。外壁に断熱材を入れたり、複層ガラスを使ったりして、屋外温度の影響を受けにくくします。

気密性とは住宅の隙間を少なくして外気の侵入を防ぐ、密閉性の高さを示す性能のことです。住宅の接合部分を気密シートなどで埋めると、気密性が高くなります。

また、床暖房はエアコンやホットカーペット、ストーブなどでも代用できます。床暖房を導入しようか迷われている方は、寒さ対策として「床暖房」が必要な理由を明確にするとよいでしょう。

寒さを軽減できる以外の床暖房のメリットは、次のとおりです。

  • 部屋が乾燥しにくい
  • ホットカーペットやストーブのように、掃除をしたり、出し入れをしたり、スペースを確保したりする必要がない
  • 足元を温められるため、末端冷え性の方に効果的
  • 頭が冷たく足は温かい環境をつくれるため、眠くなりにくく勉強や作業に集中しやすい

新築に床暖房を導入するかどうかは、床暖房のメリットと床暖房以外の寒さ対策、どちらがよいかじっくり比較してから判断しましょう。

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