ツーバイフォーとは?注文住宅を建てる前に確認すべき4つのポイント

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ツーバイフォーとは?注文住宅を建てる前に確認すべき4つのポイント

ツーバイフォーは、大手ハウスメーカーから地域密着型の工務店まで、幅広く採用されている建築工法です。

安全性・快適性・経済性という住まいに求められる3つの基本要素をバランス良く実現できるため、長期的に安心して暮らせる住まいづくりの選択肢として注目されています。

しかし、ツーバイフォーという言葉はなんとなく聞いたことがあっても、具体的な仕組みや在来工法との違いなど理解している方は少ないのが現状です。

ここでは、ツーバイフォー工法の基本的な仕組みから優れている4つのポイント、押さえておくべきデメリット、そして快適に住むための工夫まで詳しく解説します。

よく聞く「ツーバイフォー」ってどんな家?

ツーバイフォーとは、主に2×4の規格材を使って枠組みをつくり、その枠組みに構造用面材を接合して箱型の六面体構造を形成する建築工法です。「枠組壁工法」とも呼ばれます。

一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会によれば、19世紀に北米で確立されたツーバイフォー工法が日本に渡ってきたのは明治初期の頃です。

そのころに建てられた札幌の時計台(1878年築)は、146年以上たった今も現存していることから、ツーバイフォー工法の高い耐久性がうかがえます。

ツーバイフォーが国内で急速に普及したきっかけは、1974年に建築基準法の技術基準が告示されたことでした。技術基準の制定により、ツーバイフォー工法が、在来工法と同様に一般的な建築工法として認められたことで、日本の住宅市場に新たな選択肢が生まれました。

そこから約50年間、ツーバイフォー工法は住宅だけでなく様々な用途の建物に採用されたことで着工数を伸ばし、令和6年度のツーバイフォー新設住宅利用関係別着工戸数は約10万戸となっています。

ツーバイフォーは明治時代から現代まで長年にわたって日本の建築を支え続けてきた、歴史と実績のある信頼性の高い建築工法なのです。

参考:ツーバイフォー工法 着工数推移|一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

「2×4」って何の数字?名前の意味と木材の大きさ

ツーバイフォー工法は「2×4」と表現されることがあります。これは、2インチ×4インチの規格の角材と合板を組み合わせているためです。1インチは2.54cmなので、2インチ(約5.08cm) × 4インチ(約10.16cm)です。


ただし、実際に流通している乾燥済みの木材は、乾燥による収縮により約38mm×89mmとなっています。
ツーバイフォー工法では、2×4材が中心に使われますが、部位によってはより大きなサイズの規格材が用いられます。

ツーバイフォー工法で使用される主な規格材とサイズは、次のとおりです。

主な規格材 サイズ
ツーバイフォー(2×4)材 約38mm×89mm
ツーバイシックス(2×6)材 約38mm×140mm
ツーバイエイト(2×8)材 約38mm×184mm
ツーバイテン(2×10)材 約38mm×235mm
ツーバイトゥエルブ(2×12)材 約38mm×286mm
フォーバイフォー(4×4)材 約89mm×89mm

このように、ツーバイフォー工法は2×4材だけで建てられるわけではなく、工法全体を表す名称として使われています。

在来工法は「柱」、ツーバイフォーは「壁」で支える

在来工法(木造軸組工法)は、柱や梁、筋交いを組み合わせて骨組みをつくり、その上に壁を設けた日本の伝統的な工法です。

一方、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)は、2×4などの規格化された木材を使用して枠組みをつくり、構造用面材を接合して、箱型の六面体構造を形成します。

工法 在来工法
(木造軸組工法)
ツーバイフォー
(枠組壁工法)
構造 柱や梁、筋交いを組み合わせて骨組みをつくる 2×4材などの枠組みに構造用面材を接合して箱型構造を形成する
材料 さまざまな木材 2×4などの規格材
設計の自由度 自由度が高い 自由度が比較的低い
工期 工期は比較的長くなる傾向 在来工法より短い

在来工法は、間取りの自由度が比較的高く、ライフスタイルの変化に応じてリフォームやリノベーションがしやすいのが特徴です。また、大きな開口部を設けやすいため、広い窓の取り付けにも対応できます。

一方、ツーバイフォー工法は、建物の強度が高く、優れた耐震性や耐風性を備えているのが特徴です。さらに、面同士をしっかりと接合する構造のため、隙間ができにくく、気密性や断熱性も優れています。

ツーバイフォー工法を採用するハウスメーカー

ツーバイフォー工法は多くの大手ハウスメーカーで採用されており、各社が独自の技術や仕様を加えて差別化を図っています。

ハウスメーカーによっては独自の工法名で提供している場合もありますが、基本構造はツーバイフォー工法をベースとしています。

  • 一条工務店
  • 三井ホーム
  • 三菱地所ホーム
  • 住友不動産ハウジング
  • 木下工務店
  • セルコホーム

上記のハウスメーカーは、ツーバイフォー工法の基本性能を活かしながら、それぞれの強みを生かした住宅を提供しています。検討の際は、各社の特徴や実績を比較して選択することが重要です。

ツーバイフォーの家が優れている4つのポイント

ツーバイフォー工法が優れているポイントは以下の4つです。

  • 壁で支える構造だから耐震性が高い
  • ファイヤーストップ構造で耐火性に優れる
  • 木材の特性を活かして高断熱・高気密を実現
  • 建築コストを抑えやすい

それぞれの特徴を詳しく理解することで、マイホーム選びの重要な判断材料として活用できます。

壁で支える構造だから耐震性が高い

ツーバイフォーは、屋根、床、壁の6面で構成されたモノコック構造となっており、地震の力を建物全体の面で受け止めて分散します。そのため、木造でありながら高い耐震性を備えていることが特徴の1つです。

モノコック構造は、飛行機や自動車にも採用されている強固な構造システムです。ダンボール箱をイメージするとわかりやすく、1枚の厚紙では簡単に折れ曲がってしまいますが、箱の形にすることで上からの重さや横からの力に対して非常に強くなります。

ツーバイフォー住宅も同様に、6つの面が一体となって外力に抵抗するため、地震の揺れによる変形や損傷を最小限に抑えられます。

実際に、一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会が2011年の東日本大震災後に行った調査では、対象となった約2万戸のツーバイフォー住宅のうち、95%が補修を行わなくても居住に支障がないと報告されています。津波被害を除いた割合は98%です。2004年の新潟県中越地震においては、全半壊ゼロとなっており、その高い耐震性が実証されています。

参照:震災にも耐えたツーバイフォー|一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

ファイヤーストップ構造で耐火性に優れる

ツーバイフォー工法は、床根太や枠組材が組み合わさって防火区画のような構造を形成しています。そのため、枠組材などが「ファイヤーストップ材」として機能し、空気の流れを遮ることで火の通り道を断ち、隣室や上階への延焼を抑える効果があります。

出典:強さの秘訣はファイヤーストップ構造|一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

また、壁には石膏ボードが貼られていて、石膏には結晶水が含まれているため、火にさらされると熱によって水蒸気を放出し、温度の上昇を遅らせることが可能です。
これらの特性により、ツーバイフォー工法は延焼を遅らせて初期消火の可能性を高めることで、火災発生時の避難時間の確保につながります。さらに、隣家からのもらい火や延焼・類焼も防ぎやすく、優れた耐火性能により火災保険料が安くなる場合もあります。

木材の特性を活かして高断熱・高気密を実現

ツーバイフォーは、高断熱・高気密で省エネ性に優れているのが特徴です。

ツーバイフォーの外壁は外気の影響を受けにくい構造で、枠組材の間に空気層を設け、その空間に断熱材を充填することで高い断熱性を実現しています。

さらに、床や壁を面で構成する工法のため、隙間が少なく気密性も確保しやすくなっています。断熱性と気密性に優れているため、夏は涼しく冬は暖かく、冷暖房効率が高まることで光熱費の節約も可能です。

エネルギーの無駄を抑えられるため、家計への負担を軽減できる上に、環境にも配慮した住まいづくりができます。

建築コストを抑えやすい

ツーバイフォー住宅は、コストパフォーマンスに優れた建築工法としても評価されています。

ツーバイフォー工法がコスト削減につながる大きな理由は、規格化された木材を使用することで大量調達・大量生産が可能となり、資材コストが抑えられるためです。さらに、規格材は加工がしやすく、現場での作業効率が向上することで施工コストの削減にもつながります。

また、面構造により組み立てが効率的に行えるため、工期の短縮によって人件費や仮設工事費を抑えることが可能です。加えて、在来工法ほど高い技術を必要としないため、熟練職人に頼らずに施工でき、人件費の軽減にもつながります。

このような複数の要因により、ツーバイフォー住宅は建築コストを効果的に抑えることができ、より少ない予算での家づくりを実現しています。

ツーバイフォーで押さえておくべきデメリット

ツーバイフォー工法は多くの優れた特性を持つ一方で、住宅建築を検討する上で知っておくべき制約もあります。

これらの制約を事前に理解しておくことで、「建てた後にこんなはずじゃなかった」という後悔を避けられます。

特に、将来のライフスタイルの変化に対応できるかどうかや、建築時の注意点を把握しておくことは、長期的な住まいの満足度に大きく影響します。

ここでは、ツーバイフォー工法を選ぶ前に必ず確認しておきたいポイントについて具体的に解説します。

壁で支える構造だから間取りの自由度が低い

ツーバイフォー住宅のデメリットの一つが、間取りの自由度が低いことです。

ツーバイフォーは箱型の六面体構造で壁が建物を支える仕組みのため「大きな窓を設置したい」「間取りを大幅に変更したい」など大掛かりなリフォームやリノベーションが難しい場合があります。

例えば、在来工法の場合は柱や梁、筋交いを組み合わせて骨組みで構造をつくる仕組みのため、ツーバイフォーと比べて間取りの自由度が高いです。

ツーバイフォー住宅を建てる際には、将来行うかもしれないリフォームやリノベーションの内容についても考えておくことが大切です。

ツーバイフォー工法は構造上の制約があるため、希望するリフォームが実現できるかどうかを事前に確認しておくことで、将来のトラブルや後悔を避けられます。

高気密なので湿気がこもりやすい

ツーバイフォー住宅は高気密な構造のため、湿気がこもりやすいというデメリットがあります。

高気密住宅は外気の侵入を防ぎ、室内の温度を安定させやすいというメリットがある一方で、外気温と室温の差が大きくなることで、結露やカビが発生しやすくなるといった注意点もあります。

特に梅雨の時期は、カビの発生リスクが一層高くなるため注意が必要です。

また、湿気がこもることでカビだけでなくシロアリ、ダニも繁殖しやすくなり、アレルギーや呼吸器系のトラブルを引き起こす可能性もあります。

24時間換気システムなどを活用して適切に換気を行えば、これらのリスクを抑えることができますが、換気を怠ると湿気がこもり、さまざまな悪影響が生じるため注意しましょう。

ツーバイフォー住宅を検討する際は、高気密住宅のメリットとデメリット、湿気対策の重要性も理解して、快適な住まいづくりに活かしましょう。

窓や扉の大きさが限られる

ツーバイフォー住宅では、窓や扉の大きさに制約があります。窓や扉を必要以上に大きくすると、壁に大きな開口部を設けることになり、建物の強度が低下する可能性があるためです。


例えば、開口部の幅は4メートル以下に制限され、さらに壁面に対する開口部の合計幅は壁の長さの3/4(75%)以下に抑えなければいけません。また、開口部の横幅が90センチ以上になる場合は、「まぐさ」と呼ばれる補強用の横材を設置して強度を確保することが義務付けられています。

そのため、家づくりを進める際には、どの程度までのサイズが可能なのかを事前に確認しておくことが大切です。

ツーバイフォーの家で快適に過ごすための方法

ツーバイフォーの家では、以下の工夫で快適に過ごせる可能性が高くなります。

  • 24時間換気システムで湿気をコントロール
  • 全館空調で家中快適な温度を保つ
  • ZEH基準の高断熱で冷暖房効率がアップ

いくつかの工夫がポイントになります。

例えば、24時間換気システムで湿気をコントロールする、全館空調で家中快適な温度を保つ、ZEH基準の高断熱仕様で冷暖房効率を高めるなどがあります。

これらを取り入れることで、ツーバイフォーならではの性能を最大限に活かしながら、より快適で省エネな住まいを実現可能です。

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

24時間換気システムで湿気をコントロール

ツーバイフォー住宅で快適に過ごすためには、24時間換気システムを活用して湿気をコントロールすることが大切です。

ツーバイフォー住宅は外気温の影響を受けにくく夏は涼しく冬は暖かいのが特徴ですが、高気密なため換気を怠ると湿気が溜まり、カビの発生リスクが高まります。

また、湿気がこもった環境での生活は、洗濯物が乾きにくくなったり、ストレスがたまったりと、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

2003年の建築基準法改正により、シックハウス症候群の予防を目的として、住宅への24時間換気システムの設置が義務化されました。

そのため、近年の住宅には24時間換気システムが標準搭載されているため、しっかりと作動させることで常に新鮮な空気を取り入れ、湿気を効率よく排出することができます。

全館空調で家中快適な温度を保つ

ツーバイフォーの家でより快適な生活を送るために、全館空調を活用しましょう。

全館空調とは、家全体の空気を循環させて冷暖房を行うシステムで、どの部屋にいても快適な温度を保つことができます。部屋間の温度差が少なくなることで、冬場のヒートショック対策にも効果的です。

最近では、多くのハウスメーカーが全館空調を採用しており、高い冷暖房効率によって電気代の節約にもつながります。システムのタイプはメーカーによって異なり、床下設置型や天井吹き出し型、壁掛け型などがあります。

部屋ごとにエアコンを設置する必要がなく見た目もすっきりと仕上がるため、空間が広く感じられるのも魅力です。リビングに設置された操作パネルで温度や風量の調整ができるため、非常に便利です。

換気機能も備えているため、家の中の空気を常に清潔に保つことができます。これからツーバイフォー住宅を建てる予定の方は、全館空調の有無や仕様についても事前に確認しておきましょう。

ZEH基準の高断熱で冷暖房効率がアップ

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準のツーバイフォー住宅を選ぶことで、冷暖房の効率がアップし、光熱費の節約にもつながります。

ZEH基準とは、高い断熱性と省エネ性能によって「使うエネルギー」を最小限に抑えつつ、太陽光発電などで「創るエネルギー」を増やし、年間のエネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住宅のことです。

ZEH基準の家は、光熱費の削減が可能なだけでなく、太陽光発電や蓄電池によって災害時の非常用電源の確保が可能であり、断熱性の高さからヒートショックのリスク軽減にもつながります。

また、ZEH基準に適合していることは住宅の資産価値を高めるポイントにもなり、ZEHではない住宅と比べて売却時に有利な条件で取引できる可能性もあります。

ツーバイフォー住宅をお考えなら、まずは無料の家づくりプランで理想を形にしませんか?

ツーバイフォー工法は優れた耐震性・断熱性・耐火性を持つ反面、間取りの自由度や開口部のサイズに制限があるため、建築前の詳細なプランニングが必要です。

しかし、実際にツーバイフォー工法を得意とするハウスメーカーや、相談先について分からないという方も多いのではないでしょうか。

メタ住宅展示場では、ツーバイフォー工法の専門知識を持つ複数のハウスメーカーに、オリジナルの家づくりプランを無料で依頼できます。

複数社からの提案を比較検討することで、土地選びから間取り設計、資金計画まで、ツーバイフォー工法の特性を最大限に活かした理想の住まいを実現できる可能性が高くなります。ぜひこの機会にご利用ください。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 メタ住宅展示場 編集部

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