玄関ポーチの屋根、おしゃれな形は?種類と費用、施工時の注意点4つ

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玄関ポーチの屋根、おしゃれな形は?種類と費用、施工時の注意点4つ

玄関ポーチの屋根は形や色合い、デザイン、素材などバリエーションが豊かです。家の真正面という目立つ場所にあるため、選び方ひとつで外観の印象をガラッと変えられます。おしゃれな雰囲気を演出するなら、デザインは慎重に検討することが大切です。

本記事では玄関ポーチと玄関アプローチ、ひさしの意味や玄関ポーチで採用されやすい屋根の形、費用相場、施工時の注意点を解説します。玄関ポーチの屋根のデザインを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

前提!玄関ポーチは玄関ドアの前

玄関ポーチと玄関アプローチ
玄関ポーチと玄関アプローチ

玄関ポーチは、玄関を出てすぐのスペースのことです。つまり、玄関ポーチの屋根とは玄関を出てすぐのスペース全面を覆う屋根のことです。屋根で覆うことで、建物に出入りする人が雨でぬれるのを防いだり一時的に荷物を置いたりできるようにします。

玄関ポーチに屋根があれば、雨にぬれずに傘の開閉ができ、日差しや雨で玄関ドアが劣化するのを防げます。

玄関アプローチは玄関に向かう通路

玄関アプローチ
玄関アプローチ

玄関アプローチは、敷地の入り口から玄関までの通路部分を指します。敷地の入り口から、植物を植えたりレンガや石畳で小道を作ったりして玄関ポーチまで導く役割があります。

玄関ポーチは住宅工事であり条件によっては建築面積に含まれるのに対して、玄関アプローチは外構工事であり建築面積には含まれません。(参考:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)「建築基準法施行令第2条第1項第2号」)

建築条件については記事の後半で解説しています。

ひさしは窓や扉のうえの突出した部分

庇

玄関ポーチの屋根と玄関ポーチの庇の違いは、床面のどの部分を覆うかです。玄関ポーチの屋根は床面全体を覆いますが、玄関ポーチの庇は床面の一部分を覆います。屋根と庇は建物や建物の内部が雨にぬれたり強い日差しにさらされたりするのを防ぐ点では、同じ役割を持ちます。

しかし、屋根は建物の骨組みとなる構造物であり、そこに住む人を保護する目的で設置されます。屋根は地震や台風に対する高い耐久性が求められるのに対し、庇は雨や日差しを避けることが目的であるため、屋根ほどの耐久性は備えられていません。

また、屋根を設置すると玄関の存在感が増すのに対し、庇は屋根よりも省スペースで設置でき、スッキリとした外観に仕上がります。玄関を際立たせたい場合には屋根を、シンプルな印象にしたい場合には庇を選ぶという方法もあります。

玄関ポーチの屋根の形は主に4種類

玄関ポーチの屋根の形には、主に次の4種類があります。

  • 陸屋根(りくやね・ろくやね)|モダンな平らの屋根
  • 下屋げや|バリエーション豊富な傾斜した屋根
  • 開口部がアーチ状の屋根|柔らかな曲線の屋根
  • 切妻屋根きりつまやね|おしゃれな三角の屋根

それぞれ見ていきましょう。

陸屋根(りくやね・ろくやね)|モダンな平らの屋根

陸屋根
陸屋根

陸屋根(りくやね・ろくやね)とは、傾斜がないフラットな形状の屋根です。フラットな形状の玄関ポーチの屋根は、デザイン性が高くモダンでシャープな印象になります。

ただし、勾配がないため、雨水は流れにくくなります。雨水がたまりやすいことから、雨漏りに注意しましょう。風で舞ってきた枯れ葉や枝があちこちに散らかり、手入れに手間がかかるというデメリットもあります。

雨水がたまっていないか、排水口のつまりがないか、こまめな点検や清掃が必要です。

下屋げや|バリエーション豊富な傾斜した屋根

下屋
下屋

下屋とは傾斜した屋根で「差し掛け」「差し掛け屋根」とも呼ばれます。さまざまなデザインの家になじみやすく、外観のアクセントになります。

屋根が傾斜しているため、日差しが屋内に直接差し込むのを防ぎ、雨水がたまる心配がありません。ただし、雨水や枯れ葉は同じ場所に滞留しませんが、防水処理が不十分な場合は、外壁との接合部分で雨漏りが起こるおそれがあります。

開口部がアーチ状の屋根|柔らかな曲線の屋根

開口部がアーチ状の屋根
開口部がアーチ状の屋根

写真は開口部をアーチ状にくり抜いた玄関ポーチです。ヨーロッパテイストの住宅によく用いられるデザインですが、モダンテイストの住宅でも使用されます。

塗り壁やレンガの外壁にアーチ開口を組み合わせれば、シンプルでありながらおしゃれな玄関ポーチに仕上がります。形状としては直線よりもコストや手間がかかりますが、曲線ならではの柔らかさを演出でき、建物全体のアクセントになるでしょう。

切妻屋根きりつまやね|おしゃれな三角の屋根

切妻屋根
切妻屋根

切妻屋根とは、山の形をした屋根で「三角屋根」とも呼ばれます。玄関ポーチの屋根を建物全体の屋根とそろえて三角屋根にすると、クラシックで可愛らしい印象になります。

2方向に傾斜があるため、水はけがよく、雨漏りのリスクは高くありません。また、積雪を抑えられるメリットもあります。

三角の角度をどの程度にするかによって、建物全体の印象も変わります。ヨーロッパテイストやクラシックテイストがお好みの方におすすめの形です。

玄関ポーチの屋根の費用相場

玄関ポーチの屋根にかかる費用の相場は、約17〜26万です。費用は使用する屋根材や施工面積で異なります。

一般的な費用の相場を、屋根の大きさ別・屋根材別に紹介します。

屋根の大きさ別・費用相場
屋根の大きさ 費用相場(万円)
900ミリ×1,465ミリ 20~26
900ミリ×1,200ミリ 17~21
玄関ポーチの屋根の屋根材別・費用相場
屋根材の種類 1平米あたりの費用相場(円) 耐用年数の目安
8,000〜1万6,000 50年以上
スレート 4,000〜8,000 20〜30年
ガルバリウム鋼板 6,000〜1万2,000 20〜30年
ジンカリウム鋼板 7,000〜1万4,000 30〜40年
アスファルトシングル 3,500~1万2,000 20~30年

スレート屋根は初期費用を抑えられますが、良好な状態で耐用年数まで維持するには、約10年の間隔で塗装や補修が必要です。塗装や補修にかかる費用など、長期的な支出も考慮して屋根材を選びましょう。

玄関ポーチの屋根を施工するときの注意点

玄関ポーチの屋根の取り付けには、注意点があります。建築基準法に抵触するおそれもあるため、十分に確認しておきましょう。

注意したい点は、次の4つです。

  • 家自体の屋根と系統をそろえる
  • デザイン性以外に耐久性・メンテナンス性も確認する
  • ダウンライトは複数付けるか壁付け照明と併用する
  • 屋根の大きさを1メートル以下にする

それぞれ見ていきましょう。

家自体の屋根と系統をそろえる

玄関ポーチの屋根の形や素材は、建物全体の屋根と同じ系統にそろえると統一感が出ます。玄関ポーチの屋根材は、建物全体の屋根と同じように、瓦やスレート、ガルバリウム鋼板などから選べます。

しかし、玄関ポーチの屋根が建物全体のテイストと違っていると、外観にまとまりがなくなります。家がモダンテイストなら、玄関ポーチの屋根もモダンテイストにそろえて、外観を統一させるのがよいでしょう。

デザイン性以外に耐久性やメンテナンス性も確認する

玄関ポーチの屋根は、使用する屋根材によって耐久性が異なるため、デザイン性以外に耐久性やメンテナンス性も確認しましょう。

たとえば、スレート屋根は安価でカラーバリエーションが豊富ですが、10年間隔でメンテナンスをしても耐用年数は約20~30年です。耐用年数が経過したら屋根材の交換が必要になります。一方、瓦は価格が高めですが、耐用年数が50年以上で屋根材の中では最も耐久性に優れた素材です。

また、屋根材や屋根の形状を計画する際は、メンテナンス性もチェックしましょう。たとえば、陸屋根は雨漏りや排水口のつまりが起こりやすいため、こまめな点検や清掃が必要です。

2階の窓から玄関ポーチの屋根の点検や清掃ができるように、間取りを工夫しておくと、メンテナンスしやすくなります。点検や清掃のたびに足場を組まなければならないと、費用や手間がかかってしまうため、注意しましょう。

どの素材や形状を選んだ場合でも、劣化や損傷した部分がないかを定期的に確認し、建物全体の屋根と同じタイミングでメンテナンスするのがおすすめです。

ダウンライトは複数付けるか壁付け照明と併用する

ダウンライト
ダウンライト

玄関ポーチの天井にダウンライトを埋め込みたい場合は、複数箇所に設置するか壁付け照明と併用するのがよいでしょう。

ダウンライトは天井に埋め込むためスッキリした外観に仕上がりますが、下向きに照らされるため、顔に影ができやすく防犯対策には不向きです。

夜間の玄関ポーチ全体を明るく照らすには、ダウンライトを複数箇所に設置するか、明るい壁付け照明と併用するのがよいでしょう。加えて、人が近づいたときだけ点灯するセンサー式を選べば、省エネになり防犯対策としても期待できます。

屋根の大きさを1メートル以下にする

玄関ポーチの屋根は、原則として建築面積には含まれません。しかし、次のケースでは建築面積に加える必要があります。

  • 屋根の大きさが1メートルを超える
  • 玄関ポーチの屋根が壁で囲われている
  • 玄関ポーチの屋根が柱で支えられている

参考:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)「建築基準法施行令第2条第1項第2号」

玄関ポーチの屋根が壁で囲われている場合や柱がある場合は、大きさにかかわらず建築面積に含まれます。壁や柱がなく、屋根だけが外壁から突き出ている場合は、屋根の大きさが1メートル以内、つまり1メートルぴったりであれば建築面積には含まれません

1メートルを超えた部分は建築面積に含まれるため、建ぺい率に算入されます。

※建ぺい率
敷地面積に対する建築面積(真上から建物を見たときの面積)の割合です。建ぺい率は、用途地域ごとに割合が定められています。たとえば、建ぺい率が50%と制限されている60坪の土地では、建物が建てられる面積は30坪までです。

建ぺい率の上限を超えた建物は建築基準法違反になるため、注意が必要です。建ぺい率に入らないよう、屋根の大きさを90センチ程度にするケースもあります。しかし、ほかの居住スペースを調整して、雨や日差しを十分に防げる大きさに広げるという選択肢もあります。

後悔しないよう住宅展示場などで実際の住宅を見学してから、玄関ポーチの屋根の大きさを検討するのがよいでしょう。


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