一般的な注文住宅より安く購入できるローコスト住宅は、大手ハウスメーカーや工務店などで販売されています。
設備や間取りが規格化されていることが多い一方で、ローコスト住宅は予算が足りないと心配している人やライフプランから住宅ローンをあまり長期で組めない人にはおすすめといえるでしょう。
本記事では、ローコストの注文住宅を購入すべきかの判断基準としてハウスメーカーごとにどのような種類のローコスト住宅があるかとローコスト住宅のメリットとデメリットを紹介します。
もくじ
ローコストの注文住宅ってどんな感じ?
ここではローコスト住宅の主なハウスメーカーごとに、どのような種類のローコスト住宅があるか紹介します。
上質な国産材を使ったタマホーム
引用:タマホーム「木麗な家」
全国各地に営業所があり、全国展開しているタマホーム。ローコスト住宅を有名にしたハウスメーカーともいえるでしょう。
タマホームは、1棟あたり約74.1%もの上質な国産材を使用した木造軸組み工法が大きな魅力です。木造軸組み工法とは日本でいちばん多く採り入れられている代表的な建築手法です。柱に梁を組み合わせて建てることに由来し、「軸組み」と呼ばれています。
木造軸組み工法は木造のため安価なうえ、間取りの自由度が高くリフォームしやすいメリットがあります。そのなかでもおすすめのローコスト住宅が「大安心の家」「木麗な家」です。
「大安心の家」は低コストなのに高品質というローコスト住宅で、長期優良住宅の基準をクリアするほどの耐震性や耐久性を確保しています。
長期優良住宅とは、長期間家を良好な状態で維持するための措置が施された住宅のことです。構造や設備、居住環境への配慮や、一定面積以上の住戸面積があります。主に耐震等級2以上や省エネルギー対策等級4以上などの認定基準がありますが、長期優良住宅に認定されると国から補助金が受け取れます。
たとえば「すまい給付金※」という制度を利用すると国から最大50万円の給付金が現金で支給されます。
- ※すまい給付金
- 消費税の引き上げによって住宅購入にかかる負担を軽くする制度
すまい給付金の主な申請条件は次のとおりです。
①住宅の所有者:不動産登記上の持分保有者
②住宅の居住者:住民票において、取得した住宅への居住が確認できる者
③収入が一定以下の者 [8%時] 収入額の目安が510万円※2以下 [10%時]収入額の目安が775万円※2以下
④(住宅ローンを利用しない場合のみ)年齢が50才以上の者※1
※1 10%時には、収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)の要件が追加されます。
※2 夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子供が2人のモデル世帯において住宅取得する場合の夫の収入額の目安です。
引用:国土交通省「すまい給付金」
そのほか、タマホームでは、地盤10年補償にシロアリ10年補償、瑕疵担保責任保険※ などのアフターフォローも充実しています。900万円台で2階建て4LDKを担当した実績も光ります。
- ※ 瑕疵担保責任保険
- 新築住宅に瑕疵(欠陥)があった際に、補修等を行った事業者に保険金が支払われる制度。検査は住宅の工事中に実施されます。例として、屋根の欠陥で雨漏りが起きてしまったケース。この場合は買主が注意して不具合を確認しても、確認できない箇所のため瑕疵扱いです。
参考:国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険について」
空間を有効活用できるアイダ設計
引用:アイダ設計「断熱と耐震の家 ブラーボ」
狭小地設計を得意とし、空間の有効活用に定評のあるアイダ設計は、熟練の職人による技術力と経験で設計力の高い家づくりを提供しています。
「正直価格」を掲げており、注文住宅の不透明さを払しょくし、狭い土地でも設計料を抑えながらの建築が可能です。
アイダ設計のおすすめのローコスト住宅は「ブラーボシリーズ」プランです。ローコスト住宅を1,000万円以下で建てられるプランとなっており、標準仕様でも使い勝手のよさに定評があります。
たとえば「ブラーボ」では、高い断熱性能で過ごしやすい快適さを提供しています。家のなかでの温度差を抑え、冬のヒートショックに対応する家づくりを行っているため、快適に暮らせるでしょう。
狭小地設計を提唱しているアイダ設計は、狭い土地でも顧客に満足のいくマイホームを提供しています。
最新設備が他社より安いアイフルホーム
引用:アイフルホーム
アイフルホームは住宅設備、建材メーカーとして国内1位のLIXIL(リクシル)が運営する、フランチャイズ方式のローコスト住宅を販売しています。全国各地200社以上でアイフルホームのローコスト住宅が建てられます。
アイフルホーム最大の特徴である、全国250店を超えるLIXILグループを中心としたフランチャイズ制度を通じて、資材を本部で一括購入できます。そのため、最新のものでも他社より安く仕入れることで、コストカットにつながっています。
また、アイフルホームは「Lodina(ロディナ)」というセミオーダータイプの住宅を提案しています。坪ごとのわかりやすい定額制を採用しているため、坪数が同じならライフスタイルに合わせて自由にプランを組んでも間取りの変更・設計にかかる費用は同じです。
また、ブロックプランでは「耐力壁」「梁」「窓」を均一に並べることで「耐久性」が上がるシステムを採用しています。シンプルな形状のため、構造材や外壁などの材料を減らし、工事の手間も省けます。
そのため、ムダがなくコストパフォーマンスの高い家づくりを期待できます。住宅設備と性能にこだわりたいのであれば、アイフルホームはおすすめといえるでしょう。
ローコスト住宅のメリット
ローコスト住宅のメリットは次のとおりです。
- 標準仕様の場合、購入費用を抑えられる
- スピーディーに建てられる
- 建て替えしやすくなる
標準仕様の場合、購入費用を抑えられる
ローコスト住宅のメリットといえば、住宅の購入費用を抑えられることです。
ローコスト住宅のハウスメーカーは大量に仕入れて、ある程度のレベルでオートメーション化を採り入れているため、職人の技術力によって完成度が左右されにくいです。
材料を一度に大量に仕入れ、工場で部材を規格化することや、宣伝広告費を抑えることでコストダウンを実現しています。そのため、顧客にとっては購入しやすい価格になっています。
また、ローコスト住宅は注文住宅などと比べて部屋数を減らし、水回り備品のグレードを抑えるなど、さまざまな対処をしてコストを減らす工夫をしています
ローン返済にしても、注文住宅よりも安価のため、月々の返済を減らせる可能性が高いです。
スピーディーに建てられる
完成までがスピーディーであることもメリットです。
一般的な住宅を建てる場合の工期は約4カ月から6カ月ですが、ローコスト住宅は約2カ月から3カ月といわれています。
ローコスト住宅の工期の短さは現場作業を省略化しているからです。材料をあらかじめカットしてから現場で組み立てるなどで、スピーディーな作業工程にしています。
そのため、入居までの期間が短いので早く転居できることや、家族のスケジュールに合わせやすいメリットがあります。
こだわりたい部分にお金をかけられる
ローコスト住宅は、一般的な注文住宅よりも安いプランの設備を標準仕様として使っています。しかし、オプションとして設備を変更することで、かけたい設備の部分だけグレードを上げると、家族のこだわりの家づくりができます。
キッチンなどの水回りのグレードにお金をかけてカスタマイズすることや、内装や壁紙などに費用をかけられます。
コストをかける部分とそうでない部分を自分で決めて、オリジナリティのある家がつくれます。
ローコスト住宅のデメリット
ローコスト住宅のデメリットは次のとおりです。
こだわると購入費用が予算オーバーになる
ローコスト住宅に住んだ人がよくいうのが、標準仕様以外のオプション追加やカスタマイズの費用についてです。
オプションの追加やカスタマイズをした結果、予算オーバーになってしまうことがあります。せっかくローコスト住宅を建てているのに、設備面で予算をオーバーしてしまうのは考えものです。
標準仕様はハウスメーカーごとに異なるため、他社の仕様をよく比較して検討しましょう。
長期的に見ると割高になる
ローコスト住宅の住宅設備や建材は、できるだけ安い価格でおさまるものを使用しています。そのため、設備の劣化が早く、通常の住宅に比べてメンテナンスを早期にする必要があります。
たとえば、ローコスト住宅の外壁に使用されることの多い「窯業系サイディング」は耐震性や耐火性には強い半面、防水性は低いです。
シーリングといわれるつなぎ目の打ち替えが7年から10年おきに必要となるなど、メンテナンスなどの費用を含めてトータルコストを考えることが重要です。
たとえローコスト住宅の購入費用を抑えても、メンテナンス面をプラスしたトータル費用が高ければ長期的に見て割高になるおそれがあります。
設計の自由度が低くなる
ローコスト住宅は、デザインがシンプルでこだわりの内装や間取りといった期待値は低くなるおそれがあります。
実際に住む段階になり、「家具などを運び入れたときに部屋の狭さを実感した」「リビングの開放感があまり感じられない」などの不満が出ることもあるでしょう。
ローコスト住宅で後悔しないためには、あらかじめ自分が欲しい理想の住宅を明確にしておくことです。
標準仕様の設備を確認し、場合によってはセミオーダー形式でデザインや間取りなどを決められる規格住宅※なども視野に入れてみてもよいでしょう。
- ※規格住宅
- 一定の提示プランから間取りや、設備、仕様などをセレクトして建てる住宅
性能や耐久性が低い可能性がある
ローコスト住宅ならではですが、やはり一般的な住宅と比べれば素材の耐久性や住宅性能は劣ると考えてよいでしょう。
代表的なものとして、窓の断熱性能が低いことによる寒さや結露の問題、また災害の耐久性などがあげられます。
対策としては、ハウスメーカーごとのローコスト住宅のアピールポイントを比較し、どのポイントを重視するか熟考することです。そうすることで、満足できる家を購入できるでしょう。