3階建てで後悔する6つのポイント|狭小地を有効活用するアイデア

更新日:
3階建てで後悔する6つのポイント|狭小地を有効活用するアイデア

3階建て住宅は間取りを工夫すれば、狭小地でも十分な生活空間を確保できます。そのため、地価が高いエリアでも費用を抑えて家を建てられるのがメリットです。一方で階段の移動が多いなどのデメリットもあり、後悔する人も少なくありません。

どうすれば後悔しない3階建て住宅を建てられるでしょうか。3階建て住宅を建てるうえで抑えておきたい、暮らしやすい家づくりのポイントを解説します。

3階建て住宅の特徴

3階建て住宅には、次の特徴があります。

  • 土地と空間を有効活用できる
  • 建物が縦に長い構造となる
  • 生活空間が区切られる
  • 3階からの眺望がよい
  • 階段が多くなる

3階建て住宅の最大の特徴は、狭い土地を有効活用できることです。3階建てであれば土地が狭くても居住空間を確保できるため、間取りの自由度が大きく向上します。

しかし、3階建て住宅は、土地によっては高さ制限があって建てられないことがあるため、事前に確認しておきましょう。

よくある3階建て住宅で後悔するポイント

3階建て住宅はよいことばかりではありません。せっかく建てた3階建ての住宅に後悔する人もいるため、あらかじめデメリットをチェックしておきましょう。

3階建て住宅で後悔するポイントには、次のものがあります。

  • 階段での移動がつらい
  • 隣家が近くて1階の日当たりが悪い
  • 建築費が割高になる
  • 光熱費が高くなる
  • Wi-Fiの電波が届きにくい
  • 庭がない、または狭い

それぞれの後悔するポイントを詳しく解説します。

階段での移動がつらい

階段がつらい
階段がつらい

3階建て住宅だと1階から2階、2階から3階と階段で移動する機会が多くなります。何度も階段を上り下りするのは、かなりの負担です。特に体が不自由な方や、高齢の方にとって階段での移動は大変でしょう。

間取りによっては、買い物の荷物や洗濯物を持って階段を上がる必要もあります。いまは大丈夫だったとしても、高齢になったタイミングで後悔しないよう、家事動線に配慮した間取りを検討しましょう。

隣家が近くて1階の日当たりが悪い

1階の日当たりが悪い
1階の日当たりが悪い

3階建ての住宅は、広さに余裕がないうえに住宅の密集しているような場所に建てるケースが多いです。そのため、隣家との距離が近く、1階の日当たりが悪くなります。また、生活音などで近所トラブルになることも考えられます。

3階建ての住宅を建てるときは、防音性を高めたり、家のなかが見えないように窓の位置を考慮したりといった対策が必要です。

建築費が割高になる

建築費が割高
建築費が割高

平屋や2階建てと比べて建築費用が割高になるのも、3階建て住宅のデメリットです。3階建て住宅は、建物の重量が大きくなるため、構造に問題がないかを確認する「構造計算」が必要で、それだけ手間や費用がかかります。

3階建ての住宅を建てるときは、土地の購入と建築にかかる費用を合わせた総額で判断しましょう。

光熱費が高くなる

光熱費が高い
光熱費が高い

各階にエアコンなどの冷暖房設備を配置して空調を管理する必要があるため、3階建て住宅は冷暖房の効率が悪く、光熱費が高くなるケースも多いです。夏場は暖かい空気の上昇や日当たりのよさから3階が暑くなる反面、冬場は日当たりの悪い1階が寒くなります。

家の断熱性能を高めたり、省エネ性能の高いエアコンを設置したり、建築予算に応じて対策を検討しましょう。

Wi-Fiの電波が届きにくい

Wi-Fiの電波が届かない
Wi-Fiの電波が届かない

Wi-Fiの電波が届きにくいのも、3階建て住宅のデメリットです。特に1階にルーターを設置している場合は、床や壁に電波が阻まれてしまって家のすみずみまでWi-Fiを利用できないことがあります。

各階に中継器を設置するなど、家のすみずみまでWi-Fiの電波が届く対策が必要です。

庭がない、または狭い

庭が狭い
狭い

3階建て住宅は狭小地に建てることが多く、庭を確保できるスペースが限られています。そのため、庭で子どもと遊んだり、ガーデニングを楽しんだりするのは難しいでしょう。

庭のある暮らしを叶える方法として、屋上にテラスをつくる方法があります。どうしても庭がほしい場合は、設計士に相談して庭のある間取りを計画しましょう。

3階建て住宅ならではのメリット

デメリットが気になる3階建て住宅ですが、次のようなメリットがあります。

  • 土地の購入費用を節約できる
  • 3階の見晴らし、日当たりがよい
  • メリハリのある生活ができる
  • 水害対策になる

メリットをそれぞれ詳しく解説します。

土地の購入費用を節約できる

土地の購入費が安い
土地の購入費が安い

3階建て住宅は、狭小地でも建てられるため、土地の購入費用を抑えられます。土地の価格は、土地の面積や形状、立地などで決まります。そのため、利便性の高い魅力的なエリアは地価が高いのですが、狭小地であれば土地を購入できる可能性が高くなるでしょう。

また狭小地だと、土地にかかる固定資産税や都市計画税といった税金を安く抑えられます。

3階の見晴らし、日当たりがよい

3階の日当たりがよい
3階の日当たりがよい

2階建て住宅よりも3階建て住宅のほうが高い位置に部屋があるため、良好な見晴らしと日当たりが期待できます。また、窓の位置や大きさを工夫することで、自然の光や風を室内に取り入れやすくなります。

ただし、見晴らしや日当たりは周辺環境に左右されるため、土地を購入する前の入念な調査が必要です。

メリハリのある生活ができる

メリハリのある生活ができる
メリハリのある生活ができる

生活空間が各階で区切られるため、メリハリのある生活ができます。たとえば、1階に水回りをまとめて2階にリビングとキッチン、そして3階は寝室という間取りにして生活空間をくっきりと分けられます。

ほかにも、1階を店舗や事務所として活用したり2世帯住宅にしたりと、設計次第でさまざまな暮らしが可能です。

水害対策になる

水害対策になる
水害対策になる

3階建て住宅では、洪水や河川の氾濫などによる水害が発生した場合でも、3階へ避難できます。リビングが2階以上であれば、家財や貴重品などを守れる可能性も高くなるでしょう。

水害に備えるには、ハザードマップや過去の被害状況などを確認しておきましょう。近年、台風や集中豪雨などの自然災害も多いため、住宅を購入する際は確認をおすすめします。

ハザードマップ
自然災害が発生したときの被害予測図のこと。洪水や土砂災害、津波などの危険度や想定被害、避難場所が記載されている。
ハザードマップポータルサイト

後悔しない!暮らしやすい3階建てにするには

3階建て住宅での暮らしを、後悔なく快適に過ごすための方法を紹介します。家を設計する段階で、次の方法を検討しましょう。

  • 断熱性を高くする
  • 動線を意識した設計にする
  • 耐震性を高くする
  • 間取りを工夫する
  • ホームエレベーターを設置する

それぞれの方法を詳しく解説します。

断熱性を高くする

断熱性を高くする
断熱性を高くする

3階建て住宅での暮らしを快適にするには、断熱性を高めることが重要です。断熱性を高めることで、次のメリットがあります。

  • ヒートショックの危険性が減る
  • 冷暖房費が抑えられる
  • 結露が発生しにくい

断熱性を高めることで浴室や洗面所などの寒暖差を抑えられるため、ヒートショックの危険性を減らせます。

また、3階建て住宅は冷暖房の効率が悪く、冬は1階が冷えやすく、夏は3階が暑くなります。断熱性の高い窓を採用したり、断熱材の厚みやグレードを高めたりして、居住空間が外気の影響を受けにくくできます。

断熱性を高めることで冷暖房費を抑えるだけでなく、結露の発生しにくい快適な空間ができます。

ヒートショック
急激な温度変化によって、血圧が大きく変動を起こすこと。心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす原因になる。

動線を意識した設計にする

導線を意識した設計
導線を意識した設計

暮らしやすさを高めるには、生活動線を意識した間取りにすることが大切です。たとえば、洗濯機とバルコニーが別の階にあると、洗濯物を干すために階段を何度も上り下りする必要があります。トイレがひとつしかないと、わざわざ別の階へ移動しなくてはなりません。

バルコニーと同じ階に洗濯機を置いたり、トイレの数を増やしたりして、階段をなるべく使わない設計にするとよいでしょう。

耐震性を高くする

耐震性を高める
耐震性を高める

耐震性を高めることは、3階建て住宅を建てるうえで重要です。3階建て住宅は平屋や2階建て住宅よりも建物の重量が大きくなるため、地震の揺れや振動が建物に大きく影響を与えます。

地震による倒壊などが不安な方は、耐震性の高い設計にしましょう。

間取りを工夫する

間取りを工夫することで、3階建て住宅の快適性をより高められます。たとえば、次のような設備や間取りを取り入れると、狭い土地を有効活用できます。

  • ビルトインガレージを設ける
  • スキップフロアや吹き抜けをつくる
  • ルーフバルコニーをつくる

ビルトインガレージを設ける

ビルトインガレージ
ビルトインガレージ

ビルトインガレージは建物内に設置する車庫のことで、敷地が狭くても駐車スペースを確保できます。駐車スペースとしてだけでなく、ものを置いたり趣味を楽しんだりといった使い方もできます。

ビルトインガレージは延床面積の5分の1を上限に容積率の計算から除外でき、容積率の緩和を受けられるのも大きなメリットです。

スキップフロアや吹き抜けをつくる

スキップフロアと吹き抜け
スキップフロアと吹き抜け

スキップフロアとはほかの床とは異なる高さにあるスペースのことです。階段の途中にスキップフロアを設けて中2階をつくったり、半地下のスペースをつくったり、縦の空間を活用した3階建て住宅に適した間取りにできます。

また、3階建て住宅は床面積が狭くなりがちですが、吹き抜けをつくることで開放感のある屋内になります。スキップフロアと吹き抜けを組み合わせることで、空間を活用しつつ開放感のある間取りが可能です。

ルーフバルコニーをつくる

ルーフバルコニー
ルーフバルコニー

敷地が狭くて広い庭を持てなかったとしても、ルーフバルコニーを庭代わりにできます。イスやテーブルを置いてカフェスペースにしたり、プランターを置いてガーデニングを楽しんだりできるのです。

ルーフバルコニーは壁に囲まれていないため容積率に含まないほか、屋根上のスペースに設置すれば建ぺい率を気にせずに済みます。

3階建て住宅は階段の占めるスペースが多くなりますが、階段スペースの壁面に収納や本棚をつくるなど、アイデア次第ではさまざまな活用が可能です。

ホームエレベーターを設置する

ホームエレベーター
ホームエレベーター

3階建て住宅では、階段の上り下りが多くなります。若いときは問題がなくても、歳を取ると頻繁な階段の上りは相当な負担です。

階段の負担を解消する方法として、ホームエレベーターの設置があります。しかし、ホームエレベーターの設置とメンテナンスにかかる費用は決して安くありません。そのため、ホームエレベーターの設置を想定した間取りにしておき、必要になってからリフォームで設置するのがおすすめです。

らせん階段をつくる

一般的な階段ではなく、らせん階段を採用するのもよいでしょう。らせん階段は回転型の階段のことで、上からみると円形になっています。一般的な階段よりもスペースを節約できるため、それだけほかの部屋の面積を広く取ることが可能です。

おしゃれな雰囲気になるだけでなく、2階から3階へらせん階段を設置すれば、日の光を下の階へと届かせてくれるのも魅力です。

中庭をつくる

敷地に余裕があるなら、中庭をつくるのもおすすめです。建物をコの字型、L字型、完全に建物で囲ったロの字型にして、中庭をつくります。

中庭をつくることで住宅が密集している地域でも、1階まで日の光を取り込むことが可能です。特にコの字型であれば、各部屋へと光が届けられるでしょう。

ロの字型の中庭は、完全なプライベート空間をつくることが可能です。人目を気にすることなくリラックスしたり、バーベキューを楽しんだりすることもできるでしょう。

3階建て住宅の法規制に要注意!

3階建て住宅はさまざまな法律の規制がかかることがあります。それらの法律で定められた範囲内で住宅を建てることになります。個人がすべてを把握するのは難しいため、ハウスメーカーの担当者や土地の購入を仲介する不動産会社から説明を受けましょう。

よく確認しないと建てたい家のイメージがあっても、法律などの規制で実現できないおそれがあります。

建物の高さに制限がある

第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域、田園住居地域では、戸建て住宅の高さに制限があります。地域によって異なりますが、これらの地域では10mまたは12mの高さまでの住宅しか建てられません。

建物の高さ制限のある地域
区域名 概要 高さの制限
第一種低層住居専用地域 低層住宅の良好な生活環境を守る地域 10または12m
第二種低層住居専用地域 主に低層住宅の良好な生活環境を守る地域 10または12m
田園住居地域 農業をしやすい環境と、それに調和した低層住宅の良好な生活環境を守る地域 10または12m

参考:都市計画法 第九条建築基準法 第五十五条

ここで紹介した以外の地域であれば、建物の高さに制限はありません。ただし、高さの制限はなくてもそのほかの規制をされることがあるため、自由に建てられるわけではありません。

高い建物には日影規制がある

高い建物を建てるときは、日影規制にも注意が必要です。日影規制とは、近隣の地域が建物などで日影になることを防ぐための規制です。冬至日の午前8時~午後4時(北海道は午前9時~午後3時)の日影の量を制限するため、建物の隣地の境界からの距離や建物の形などの規制を受けます。

第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域、田園住居地域では、軒高7mを超える建物または3階以上の建物は日影規制の対象になります。そのほかの地域でも、高さが10mを超えるときは日影規制があるため、3階建てを建てるときは注意が必要です。

日影規制の対象になる建物
区域名 日影規制のある建物
第一種低層住宅住居専用地域
第二種低層住宅住居専用地域
田園住居地域
軒高7mを超える建物または地階を除く階数が3以上の建物
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地
準住居地域
近隣商業地域
準工業地
高さが10mを超える建物

参考:建築基準法 第五十六条の二別表第四

防火地域・準防火地域には防火規制がある

防火地域・準防火地域では、火災が発生したときに周囲に燃え広がらないように建てる建物を規制しています。防火地域は幹線道路沿い、準防火地域はその周辺に指定されることが多いです。

防火地域で3階建てを建てるときは、耐火建築物を建てなくてはなりません。耐火建築物は火災が起こっても鎮火するまで倒壊しない、延焼しない耐火性能の高い建物のことです。基本的に鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造になるため、建築費用が高くなります。多くはありませんが、耐火建築物の基準を満たす木造住宅もあります。

準防火地域で建てられる3階建ては、準耐火建築物以上の耐火性能が必要です。準耐火建築物とは耐火建築物ほどではないものの、火災が起こっても一定時間以上倒壊しない、延焼しない耐火性能を持つ建物のことです。耐火建築物ほどではありませんが、費用は高くなります。準耐火建築物であれば、3階建て木造住宅の選択肢は豊富です。

防火地域の建築規制
50m2以下 100m2以下 100m2
3階建て以上 耐火建築物 耐火建築物 耐火建築物
2階建て 準耐火建築物 準耐火建築物 耐火建築物
平屋 防火構造 準耐火建築物 耐火建築物
準防火地域の建築規制
500m2以下 500m2
1,500m2以下
1,500m2以上
4階建て以上 耐火建築物 耐火建築物 耐火建築物
3階建て 準耐火建築物 準耐火建築物 耐火建築物
平屋・2階建て 防火構造 準耐火建築物 耐火建築物

参考:建築基準法 第六十一条


「メタ住宅展示場」ではさまざまなモデルハウスを、スマートフォンやパソコンから見学できます。狭小地を活用したさまざまなモデルハウスを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

東証グロース上場

リビン・テクノロジーズ株式会社(東証グロース上場 証券コード:4445)が運営する住宅展示場です

Copyright © Living Technologies Inc. All rights reserved.

page
top