モデルルームの間取りに憧れてはダメ!その理由とは

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モデルルームの間取りに憧れてはダメ!その理由とは

ハウジングセンターに立ち並ぶモデルルームは、どれも素晴らしい家ばかりです。
しかし、モデルルームは現実的ではない空間になっているのをご存じでしょうか。

モデルルームの間取りに憧れて取り入れた結果、大きな失敗につながってしまうこともあります。この記事ではモデルルームの間取りに憧れる危険性と、取り入れてもよいポイントを解説します。

モデルルームは非現実的

モデルルームは最高級の品質と技術の結晶からなる、各ハウスメーカーの宣伝用住宅です。

華やかで豪華な住宅であるのに対し、実際に暮らしやすいかというとそうではありません。次に紹介するポイントは、非現実的な部分が多いため、注意が必要です。

間取りが非現実的

モデルルームには、開放的なリビングを演出するというコンセプトがあります。下記のような工夫で非常に広い空間を作り出す間取りになっています。

  • 窓の全開放が可能
  • リビングの天井が吹き抜け

もしモデルルームの間取りをそのまま流用し、建築したとすると膨大な光熱費が必要です。1階と2階が吹き抜けでつながっているため、エアコンの冷気や暖気は人のいない空間に集まります。

また、大きな吹き抜けは2階の面積が減少するため、部屋が2つ程減ってしまいます。吹き抜けを設けるメリットはあるものの、生活するためではなく、開放空間を維持するための設計であるため、モデルルームの間取りを流用することはおすすめできません。

設備が非現実的

モデルルームを見学するとわかるとおり、素晴らしい家具や家電、キッチン、化粧台が設置されています。

それらはすべて、一流のインテリアコーディネーターによって設計されています。しかし、生活動線や掃除のしやすさはまったく考慮されていません。

たとえば大理石のアイランドキッチンはどのハウスメーカーも導入していますが、大理石は衝撃に弱く、一度入ったヒビですべての面が破損してしまうことがあります。また、化粧台などはオシャレなほど、掃除に手間がかかります。

モデルルームに使われている住宅設備は各ハウスメーカーの最上機種となるため、実際の建物プランに取り入れてしまうと予算オーバーになることがほとんどです。

このように、住んだあとのさまざまな動線を考慮すると、モデルルームにある設備はかなり使いにくい仕様だということがわかります。

建物の大きさが非現実的

多くのモデルルームが200㎡以上の大豪邸となっており、2世帯住宅などを再現したモデルルームもあります。

最近では最高品質の住宅と現実的なサイズのモデルルームの2つを設置しているハウスメーカーもありますが、モデルルームはあくまでもハウスメーカーの宣伝という意味合いが強いです。

そのため、大きく見えるよう敷地ギリギリまで建築しています。
実際に家を建築しようとすると、地域によっては敷地に対して50%〜60%の割合に留めなければならないというルールがあります。これを建ぺい率といいます。

モデルルームは建ぺい率が考慮されていません。モデルルームが建築されている土地を購入したとしても、同じ大きさの建物は建築できません。

つまり、モデルルームの家をそのまま建築するにはモデルルームが建っている敷地以上の土地が必要なため、かなり高額の総建築費用が必要となります。

平均的な広さや間取りとは

モデルルームは非現実的な広さと仕様になっていますが、現実的な広さや間取りはどのくらいなのでしょうか。

ここでは住宅金融支援機構が公開している2020年度「フラット35利用者調査」より、平均的な家の面積や間取りについて解説します。

平均的な家の面積は120㎡程度

モデルルームは200㎡を越える建物面積になっているのに対し、平均的な注文住宅の建物面積は120㎡程度です。

エリア別、注文住宅の平均面積
エリア 注文住宅の平均面積(㎡)
全国平均 124.4
近畿 127.4
東海 126.5
首都圏 123.9

2020年度「フラット35利用者調査」より

モデルルームを200㎡と仮定すると、80㎡の差があります。80㎡は約24坪となります。建物の坪単価が80万円/坪と仮定すると、約1,920万円の価格差となります。

つまり、モデルルームと実際に建てる家は、同じ設備をつけたとしても1,920万円の価格差があるということです。

平均的な間取りは3部屋以上

平均的な注文住宅の建物面積と家族数を見て一般的な間取りを推測してみます。フラット35の利用者の平均家族数は以下のとおりです。

エリア別、注文住宅建築時の家族数の平均
エリア 家族数(人)
全国平均 3.6
近畿 3.6
東海 3.6
首都圏 3.7

2020年度「フラット35利用者調査」より

上記のデータから家族数を4人と仮定すると、夫婦で一部屋、2人の子どもにそれぞれ一部屋用意すると考えると、間取りは3部屋以上、つまり3DKや3LDK以上の間取りが必要です。

200㎡以上あるモデルルームは、商談スペースも用意されており、6〜7部屋以上はあります。広さや部屋数から非現実的なサイズであることがわかります。

最低限要望が入る家から考える

このようにモデルルームと現実的な家には大きなギャップがありますが、それでは何を基準に家の間取りや仕様を検討していくべきでしょうか。

失敗しない間取り作りの方法として、最低限必要な要望を取り入れた間取りから考えるという方法があります。

夢や希望はもちろん取り入れてもよいですが、まずは必要な要素を入れた間取りと設備を導入してみましょう。それに対し、予算内でこだわりの要素を含めていくと、予算内で生活動線や家事動線を考慮した家を作れます。

この方法で作り上げた間取りと仕様は、住んだあとに後悔しない堅実な内容となります。ポイントは、夢から現実に降りるのではなく、現実から積み上げて夢を取り入れるという考え方です。

モデルルームでも参考にできる点はある

ここまでモデルルームの間取りや仕様を取り入れることに否定的な内容を記載しましたが、取り入れるべきポイントもあります。

住宅展示場に趣きモデルルームを見学するタイミングがあれば、ぜひ次で紹介するポイントを確認しましょう。

スキップフロアやデッドスペースの使い方

モデルルームの最大の特徴は、空間の使い方が非常にうまいという点です。モデルルームならではのテクニックとして以下のようなものがあります。

  • 1階に少し上がった部屋を作り、1.5階部分を演出したスキップフロア
  • 床を下げて天井を高く見せるダウンフロア
  • 階段下を貯蔵庫にしたり壁の中に収納を入れたりと、生活感を見せない空間

このように、モデルルームを見学する場合は縦の空間と収納の作り方に注目してみましょう。

インテリアの使い方

モデルルームに置かれている家財や家電、小物はすべて計算されたうえで設置されています。

たとえば壁紙の上部分に20センチだけ色が違う壁紙が貼られている場合があります。これは自然と上に目がいくことで、空間を広く見せる効果があります。それ以外にも色が違う小物をアクセントで置くことで部屋の雰囲気を引き締めたりと、プロならではのこだわりがモデルルームにはあふれています。

家づくりの参考になるほか、いま住んでいる部屋をオシャレにするヒントにもなります。

モデルルームを参考にする際は担当者に相談する

モデルルームは見るだけで参考になる部分もありますが、実際に担当者に説明をしてもらいながら見るようにしましょう。実際に取り入れた事例や設備のポイントを教えてもらえます。

モデルルームには非現実的な部分も多いですが、間取りや仕様のなかにも家づくりのヒントがあふれています。そのため、モデルルームを見学する際には間取りや仕様に目を奪われるのではなく、現実的に利用できるポイントを確認しましょう。

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